先月30日、東京・杉並区で起きた住宅の倒壊について、区は、倒壊した住宅の「擁壁」に亀裂があることを41年前から把握していて、所有者に改善指導を行っていたと明らかにしました。

杉並区によりますと、倒壊した住宅の擁壁は1968年に建設されたもので、区は、今回の倒壊について「宅地内の土の圧力により、擁壁に生じていた亀裂が進行した」ことが原因として考えられるとしています。

区は、1984年に別の擁壁を調査した際、今回崩れた擁壁に亀裂があることを発見。その後、毎年現地調査を行い、これまでに、前の所有者に8回、今の所有者に3回、擁壁の補修工事などを促す指導などをしてきたということです。

擁壁の亀裂には複数回、モルタルを使った補修が行われていたということですが、区は「抜本的な安全対策は行われていない状況が続いていた」としています。

去年10月には、現地調査で亀裂が広がっていたため、改めて改善への指導を行い、近隣住民や通行人への注意喚起のため、カラーコーンを設置していたということです。

今回の倒壊は、先月24日に所有者が区の建築課を訪れ、擁壁の補強工事を行うと報告したばかりだったということです。

杉並区は2日と3日、安全性に問題のある擁壁24か所について緊急点検していて、点検の結果に応じて、それぞれの擁壁の所有者に補強工事などを促す指導をしていくということです。