■だまし取った金はキャバクラの支払いに

犯行当時、男のクレジットカードの支払いは、約95万円にものぼっていたことが2日の裁判で明らかになりました。
主な支払先は、キャバクラでした。
多い時で、1日に50万円ほどをキャバクラで使っていたという男。
2日の裁判で、キャバクラに通っていた理由を検察から問われた男は、淡々と語りました。
「気に入っていた女性もいたかもしれません」

被告人質問で、男は、毎月の支払いが間に合わなくなり、消費者金融などからも借り入れし、借金の総額は600万~700万円まで膨れ上がっていたと述べました。
犯行当時、男は別のメーカーのディーラーに転職していましたが、接待を受けていた中古車買い取り業者に下取り車を横流ししていたコンプライアンス違反が発覚し、出勤停止になっていました。そのため給料による返済が困難になり、詐欺行為に及んでいました。
検察から「犯行翌月以降の支払いはどうしようと考えていたのか」と問われると、男は「目の前のことしか考えられていませんでした」と話し、「思いとどまろうとしたが、金銭的に追い込まれていた」と述べました。

被害男性によりますと、事件の約1年前には、キャバクラの代金を支払えずにいた被告の男は「助けて下さい」と被害男性に連絡したこともありました。
その時、被害男性は、男がいるキャバクラまで足を運び、その場で約125万円の飲食代金を立て替えたこともあったといいます。

被害男性
「私はアルペンスキー競技を通じて、小学生くらいから男のことを知っていました。誰かがサポートしないと、このままでは男が道を完全に外してしまうと思って、最後まで面倒をみることにしたんです」
男は結局、勤務先のディーラーを懲戒解雇されましたが、被害男性は男を信じ、弁護士費用約30万円を工面。しかし、その金も実際には弁護士に渡っておらず、キャバクラへ消えていったということです。
被害男性
「お金だけのことであれば、私も許すつもりでした。しかし、男は『あいつらのせいで人生狂わされた』と周囲に言っていたんです。私は怒りが収まらず、刑事告訴に踏み切りました」
裁判で、男は当時の借金について「600万円~700万円」と証言していますが、被害男性が男からの聞き取りや返済明細などで確認した際、実際には約1400万円にものぼっていたということです。
被害男性
「詐欺が私にバレた時、男は『GTRだけは当たってる』と言い続けていました。泣きながら土下座してでも嘘を言ってくるんです。何が真実で何が嘘か、本人すらわかっていないですよ」

男が、男性からだまし取った100万円は、すでに男の両親が弁済しました。それとは別に経済的損失などによる損害賠償として、50万円を男が支払ったということです。
2日の法廷には、男の母親が証言台に立ち「毎月の給与明細を見せてもらい、現金を預かって管理しています」「謙虚に真面目に働いて、罪を償わせます」と涙ぐむ様子もありました。
男は現在(10月2日時点)、弁護士を通して民事再生の手続き中だということです。
この詐欺事件の裁判は、10月22日に被害男性による意見陳述が行われる予定です。