重要施設の上空での小型無人機「ドローン」の飛行を規制する法律の改正に向け、警察庁は今月(10月)7日から有識者検討会を行うことを明らかにしました。

現行の「ドローン規制法」は、2015年に総理官邸の屋上にドローンが落下した事件を受け、議員立法として制定されたものです。

この法律では、国会議事堂や官邸、原発のほか自衛隊や在日アメリカ軍の基地など重要施設の敷地と、その周辺およそ300メートルの上空が飛行禁止区域に設定されています。

違反を発見した場合、警察官はジャミング(電波妨害)などによる飛行の妨害や機体の破壊が可能で、違反者には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

しかし、ドローンの性能はここ10年で飛躍的に向上しています。

当時、市販のドローンの飛行速度は時速50キロ程度でしたが、現在では時速70~80キロに達し、一部の海外製では時速150キロを超えるものもあるということです。

映像伝送の距離や最大積載量なども大幅に進化していて、現行法ではテロなどの対策が不十分ではないかという懸念が指摘されていました。

こうした状況を踏まえ、警察庁はきょう(2日)、「ドローン規制法」の改正に向け大学教授などの有識者を交えた対策検討会を今月(10月)7日から行うと明らかにしました。

検討会では、農薬散布などで使われるドローンの利活用も考慮したうえで、飛行禁止区域の範囲や罰則などについて議論が行われるということです。

警察庁によりますと、「ドローン規制法」が施行された2016年から2024年にかけて、飛行禁止区域でドローンを無断で飛行させたとして摘発した件数は、11都府県であわせて21件にのぼるということです。

警察庁は今後、有識者検討会を複数回行い、年内にも報告書を取りまとめる方針です。