転機が訪れたのは、ことしに入って。
山口市で広告制作を手がける「オオバクリエイティブ」の大庭典夫社長が、「歴史を途絶えさせてはいけない」と再開の道を探り始めます。
松岡さんの長男で、パティシエの理さんらと話し合いを重ね、6月に「株式会社宝来屋」を立ち上げて事業承継しました。以前からのスタッフが残り、懐かしい味を受け継いでいます。
創業当時からの看板もそのまま。一方、およそ1000万円をかけて厨房や店舗をリニューアルし、新しいロゴマークは、看板商品のシュークリームをイメージしています。
多くの人が待ち望んだ再開の日。ショーケースには、ケーキやプリン、カヌレなどが並び、訪れた人がお目当ての商品を買い求めていました。
客
「カヌレとケーキとシュークリームと焼き菓子を買いました。宝来屋はなくてはならないお店、絶対に。永遠に続いてほしいです」
「地域を活気づけてほしいなと思います。子どもが大きくなったら食べさせてあげたいと思います」
茂良さんは、宝来屋が大切にしてきた手作りのよさを引き継いでほしいと願っています。
宝来屋 前店主 松岡茂良さん
「宝来屋の遺伝子というか、DNAがあるなら、手作りのよさですね。自分の手で作ったものを提供することを引き継いでもらって、味を守ってもらいたいと思っています」
株式会社宝来屋 大庭典夫 社長
「山口のまちの方に愛される宝来屋を再建したいというのがまずの思いです。歴史をつないでいかなきゃいけませんので、若い人にも来てもらえる店作りをさらにしていきたいと思っています」
伝統の味を守りつつ、地域に愛される洋菓子店として再び歩みを進めます。