◇《アイヌへの差別禁止の法律がある中、なぜ許可された?》
地下歩行空間の利用規約では『アイヌ施策推進法』や『ヘイトスピーチ解消法』を遵守するよう求めています。
これまでも、札幌市の施設や地下歩行空間では、同じパネル展が複数回行われています。そのたびに市民団体から、差別的な内容だと批判の声が上がっていました。
札幌市は、申請内容を判断するのは指定管理者の『札幌駅前通まちづくり株式会社』と前置きした上で、札幌市も協議して、許可を出したと話します。
札幌市都心まちづくり課 伊関洋課長
「憲法でも表現の自由、言論の自由、また検閲を行ってはならないという自由が定められてございますし、地方自治法でも公の施設の利用に関しては、利用制限をなるべく行わないような形で、法の上で保障されておりますので、非常に難しい問題だというふうに我々も課題として認識しているところでございます」

◇《パネル展の内容について沈黙する札幌市》
それでは、今回のパネル展の“内容”に問題はないのでしょうか。札幌市のアイヌ施策課の担当者は、HBCの取材に対して、回答そのものを拒否しました。
ヘイトスピーチ問題に詳しい島田度弁護士
「ああいうことが、しかも公共の場でなされるというのは、別に札幌市がお墨付きを与えたわけじゃないんだけれど、一般に見てる人は“札幌市のお墨付きがあるんだな”と誤解をしてしまうかもしれない」
ヘイトスピーチの問題に詳しい島田弁護士は、札幌市がパネル展についての見解を示さないことは“問題”だと指摘します。
ヘイトスピーチ問題に詳しい島田度弁護士
「政府なり、自治体なりがはっきりと差別反対の姿勢を表明する、言明するということ、これ自体も差別の抑制のために非常に有効な機能を果たす」
「自治体としては間違ってると思うけれど、地方自治法の規定もあるから展示そのものは許可してるんですよっていう、そういう姿勢を自治体がしっかり打ち出すことが必要だと思います」
札幌アイヌ協会は9月30日、札幌市役所を訪れ、今後このようなパネル展を許可しないよう、札幌市に求めました。
札幌アイヌ協会の女性
「間違った歴史認識を流したり、ヘイトスピーチのようなものを流すということは、アイヌ施策を進める札幌市としては、まったく逆のことをしている」
