取材中にも遭遇「人を恐れないヒグマ」

知床のヒグマの生態に詳しい専門家は“人間とクマの距離感が失われつつある”と感じています。

南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖 主任研究員
「愛玩動物じゃないですから。日本で一番強い野生動物なわけですから。それを勘違いすると駄目だと思う。(子グマは)お母さんに連れられて人の前に出てくると、『人が何もしないんだ』というのを覚えちゃう。人慣れした状態がどんどん変わって変わって変わって受け継がれて、何頭増えましたかという話。それが現状」

今の知床では、人を恐れないヒグマに遭遇するのは珍しいことではありません。

動画の撮影者
「登山できないよ、これ。子グマ2頭もいるし」

事故4日前の8月10日、羅臼岳で撮影された映像には、3頭のクマの姿が。撮影者によると、このヒグマはこの後、登山道に入り「人を怖がる様子もなく近づいてきた」といいます。

9月2日には、知床横断道路で車を恐れることなくゆっくりと近づいていくヒグマの姿も目撃されました。

私たちも財団との同行取材中にヒグマに遭遇しました。

道路のすぐそばに現れた親子のヒグマ。一瞬こちらに目をやり、15秒ほど経つと、藪の中に消えていきました。

知床財団 玉置創司 事務局長
「いまのクマも我々見ていたので、人との距離をあまり分からなくなってるクマだろうなって。逃げなかったですよね。目も合わせていたし」