「目標」以外のことが、人生の影響大

――88歳ぐらいの方が言うと「そうだよな」ということをまだ50歳のつるのさんがいう。

つるの剛士氏:
幼稚園の頃から、絶対に芸能界に入って有名になるという夢を持ち「ウルトラマンにも変身しちゃうぞ」と思っていてそれが叶った。目標を定めたこともあったが、目標ではないことの方が大きかった。お馬鹿タレントやアイドルになるなんて夢にも思っていませんでした。だから、あまり自分を決めすぎないのが楽しい。最近、そういうことを思い出してきました。短大や大学に通うことも、ある意味寄り道でした。こっちに行ってみたらどうかな、と思ってやってみたんです。

短大・大学へ“寄り道”をしてみた

――専門的なことを学びたいと思っても、実際に行動する人は少ないです。短大や大学に進んだのは簡単な決断ではなかったですよね?

つるの剛士氏:
本当は、独学で保育士資格を取ろうとしました。テキストをAmazonで取り寄せて勉強しようとTwitterでつぶやいたら、「高卒だと資格試験を受けられない」とコメントで言われました。ある時期から大卒じゃないと受験資格がないと後で知ってショックでした。そのことをTwitterで吐露したら、保育士や幼稚園の先生たちからも「簡単に取れると思うな」と叱られました。子どもたちを預かってきた中で先生たちに感謝していたし、応援してきたつもりだったので、怒られるとは思わず、びっくりしました。こんなに志や熱意があるのにまさか現場の人たちから怒られるなんてと。でも、そこで奮起して「正規のルートで短大に入る」と決心をしました。

――そこで諦めずに行動したのはすごいですね。

つるの剛士氏:
いや、めげるわけにはいかない。やるでしょう。

キャンパスライフが楽しすぎた!

――学校生活はどうでしたか?

つるの剛士氏:
学校生活も楽しかった。初めてのキャンパスライフで、学生証をぶら下げて電車に乗ったり、自分で弁当を作ったり。弁当を開くと、みんなが「すごいね」「自分で作ったの?」と褒めてくれる。あと女の子たちがお菓子を分けてくれるんです。「つるちゃん、これいる?」なんていわれて、帰り道いつもカバンの中がお菓子だらけになった。学生たちと話しながら電車に乗るのが楽しくて、新鮮でした。

短大ではどんな勉強をした?

――学びの面ではどんな経験がありましたか?

つるの剛士氏:
子どもを幼稚園や保育園に預けていたので、先生たちの大変さは知っていて、感謝の気持ちは持っていた。実際に勉強してみると、多岐にわたるジャンルを学んで資格と免許を取る大変さに驚きました。だから最初にTwitterで呟いたときのお叱りはなるほどなと思った。保育士は「子どもと遊んでるだけ」と言われがちですが、小学校みたいに教科の時間割があるわけじゃないが、遊びの中に言語、表現、人間関係など、5つの領域を計算して取り入れる教育要領があるんです。遊びの中に計算しているということも初めて知った。教育実習で、落ち葉を掃除しようとしたら、先生から「ありがとうございます、助かります」と言われつつも「子どもたちの遊び道具だからほっといてください」と言われ、「これか保育は!」と思った。季節を感じる環境が、5領域のひとつの「季節」の学びに繋がる。保育は深いなと。

――5人の子育てをしていても、保育士の勉強をしたら、視点が変わりましたか?

つるの剛士氏:
視点は全く変わりました。子どもには自然に育つ力がある。子どもだから大人が何かしなくてはいけないというのではなく、それを見守ることが大事だと学びました。