こんなに自分って変われるんだな! 大人の学びはゴールがない 

つるの剛士氏:
本当にゴールがないなと思います。水の流れが強いときもあれば、ゆっくりのときもあって、穏やかなときもあれば、激流もあるわけで、そういう時も自分がどういうふうに、「すん」といられるのかということを学びの中で、気づかせてもらった。でも知らないことばかりでまだまだ。本当にこれ以上ないぐらいに本を読んで、老眼もひどくなった。僕もこんなに自分で変われるんだなと思った。そこに気づけたことがすごく大きかった。だからあまり自分を決めすぎない方がいいとそこで気づいた。知らないことがまだまだあると気づき、より謙虚になったことも、学びのいいところ。

――寄り道が知識の面として広がり、学問の“地平”が広がっているように感じますね。

つるの剛士氏:
確定申告の職業欄に何を書こうかと。歌や俳優、バラエティ、幼稚園の先生?保育士?何をやってるんだろうと思い、「つるの剛士」と書いたら怒られました(笑)

――続いてお話しいただくテーマは何番でしょうか。

つるの剛士氏:
4番の「質の高い教育をみんなに」です。

――SDGsの4番、「質の高い教育をみんなに」に向けた提言をお願いします。

つるの剛士氏:
いつも遊more 。

子どもたちから遊びを教えてもらう。 

つるの剛士氏:
より遊ぶ。いつも「遊more(ユーモア)」を持っていたい。遊ぶことに真心を持って取り組むことです。保育の現場で学びました。地元で「つるの先生」と呼ばれるけど、子どもたちに教えるなんてとんでもない。子どもたちから遊びを教わっています。子どもたちの目線は遊びそのもので、いつも勉強させてもらっています。

――子どもがゴミ袋から汚いものを出すようなイタズラはどう対応しますか?

つるの剛士氏:
やめてほしいと思うママを見て、子どもはもっとやろうとします。それをどう遊びに変えるか。イヤイヤ期の2、3歳の子どもが帰宅時に「服を脱ぎたくない」というと「パパとどっちが早く服を着替えるか」とゲームにすると、ちゃんと着替えてる。工夫が生まれます。遊びなんです。子どもと関わる中でヒントがたくさん出てきます。

大人は近道を探しすぎ

つるの剛士氏:
子育ては大変だけど、あっという間に過ぎる。あっという間にどこかへ行ってしまって、もっと子育てやっておけばよかったと思える日が来る。今を大事にしてほしい。大人以上に遊べと思う。無駄を省こうとするが、遊びは無駄だらけ。無駄しかない。合理的じゃダメ。非合理じゃないとダメだと思っています。

シャッター街をキッザニアに!? 山梨県北杜市に理想の保育施設を…

――もっと遊べということですか?

つるの剛士氏:
そうですね。保育の事もいろいろやってみたい。山梨県北杜市で子ども施設を作りたいと思って、あちこち全国の保育園・幼稚園など見学に行っているが、皆さんいろんなことをやっていて模索している。

――最初に思い描いた理想は?

つるの剛士氏:
キッザニアで子どもたちが仕事体験をするのを見て感動した。将来、町レベルでできたら面白いと思いました。シャッター商店街に“専門家”がいるのに寂れているのはもったいない。彼らに先生になってもらい、子どもたちと町ぐるみで何かできたらと。最初は大きな土地や建物が必要だと思っていましたが、ある小さな保育園が外で活動するのを見て、発想が変わりました。ハードよりソフトを重視し、子どもたちと外に出て行けばいいと。そしたらそういう方がもういた。

その土地の環境資源を生かす保育は良さそう

――北杜市でどんなことをしたいですか?

つるの剛士氏:
八ヶ岳の麓なので、自然を使った保育がキーワードです。環境資源を活かした施設を作りたい。場所ごとの特性を活かすのが大事で、全国の施設を見学して模索中です。誰かがすでにやっている夢もありますが、北杜でしかできない保育を見つけたいです。

――サステナスタイルのつるのさんの経験を活かせば、自然の中で子どもたちと釣りやアウトドアを楽しむ保育ができそうですね。

つるの剛士氏:
タレントとしてプロフェッショナルの方々と繋がれたのが財産です。釣り、アウトドア、将棋、サーフィン、絵も、音楽も。すぐにアクセスできる。いろんなプロを呼んで子どもたちと経験を共有できたら、ハードいらないですね。視点を変えれば、いろんなことができると気づきました。

――グラデコの記録をご覧になっていかがですか。

つるの剛士氏:
頭の中のことをキーワードで書いてくれて、解像度が上がってわかりやすいです。結果は出ていないけど、アクションを起こして世の中の土台作りができたらと思います。

――最後に、SDGsとは何ですか?

つるの剛士氏:
次の世代にちゃんと受け継がせること。子どもや未来のために、と言いたくなかった。大人が幸せじゃないと子どもも幸せになれない。でも、もうそんなこと言ってられない。

――この番組は今回で最終回。5年間この番組で感じたのは、人間として当たり前のことを続け、ルールとか決めごとではなく、やりたいことを考え続けるのがSDGsだと思います。つるのさんの目の輝きが全てを物語るということ。今日はその答えにたどり着けました。最後の賢者、つるのさん。ありがとうございました。

つるの剛士氏:
恐縮です。5年間お疲れ様でした。

(BS-TBS「Style2030 賢者が映す未来」2025年9月21日放送より)