大地震が起きた時、家具が倒れてドアがふさがったり、ガラスなどが散乱したりしたら安全に避難ができません。家の中の避難経路をどうやって確保するか。対策のヒントは「おうたわ大事」です。

<県ふじのくに防災士 高良綾乃さん>
「一旦落ち着かせるために、外に出るわけです。その時に廊下が全部ぐっちゃぐちゃ、ガラスの破片で歩けない、では避難ができないですね」

静岡県三島市在住の県ふじのくに防災士、高良綾乃さん(51)です。2025年8月、静岡県西伊豆町のこども園の保護者を対象に防災セミナーを開きました。高良さんが一番に訴えたいのは「家の中での避難経路の確保」です。

大地震が発生した際、自宅の廊下に家具が倒れたり、ガラスの破片だらけだったりしたら、外に避難ができません。そこで、高良さんは家の中の避難経路を確保するための対策を「おうたわ大事」という標語にまとめました。

・お:落ちない
・う:動かない
・た:倒れない
・わ:割れない

具体的な対策について、高良さんの知人で同じく県ふじのくに防災士の松田夢希さんのお宅で見せてもらいました。

まず「」落ちない。

<高良さん>
「地震で大きな揺れがあった場合、肩より高い位置に物がたくさん置いてありますと、物が落ちてきて、頭や顔をケガしてしまう。グルッと見回したところ、高いところに危険な物がほとんどないお宅といいますか、全体的に家具が低めで揃えてある。頭に落ちてくる物は、心配はいらないかなと思います」

2024年に県ふじのくに防災士の資格をとった松田さん。3歳の娘さんの安全のためにも日頃から家の中での防災対策を行っています。

次に「」動かない。

<高良さん>
「意外にこれ動くんだ、という私の中の1位が、実は冷蔵庫なんですね。小刻みな揺れや向きによっては、少しずつ動いて、迫ってくるという実例もあります」

松田さんのお宅では、天井との間に突っ張り棒を入れ、さらに壁と冷蔵庫をベルトでつないで動かないようにしていました。

そして「た」倒れない。

リビングの中央にある回転式本棚について、高良さんから指摘がありました。

<高良さん>
「木製で、やはり重量もあるのと、硬い素材であると考えると、倒れてきたら、お子さんよりも高いですからね。ケガの心配があるなあと気になります」

<県ふじのくに防災士 松田夢希さん>
「(本棚を)奥の危なくない場所に移動して、例えば今の季節のものだったり、今興味のある本だけを何冊かピックアップして、リビングに置いておくみたいなのもいいかなと思いました」

<高良さん>
「すごく良いと思う。量を減らすことで収納自体を変える、置き場所を変えるのは良いアイデアだと思います」

」割れない。

最後の「われない」では、窓には飛散防止フィルムが貼ってあり、また背の低い収納に必要最小限の食器だけを入れていることが高く評価されました。

高良さんは、「おうたわ大事」の対策について、全て一度にやろうとすると、時間もお金もかかるので、優先順位を付けて取り組んでほしいと訴えています。

<高良さん>
「一般的には、長くいるお部屋、例えばリビング、それから最も無防備になる寝室、こういったところから始めてみるというのがいい方法かなと思います」