国が過ちを認めない限り、差別はなくならない
――最後に、この問題の解決に向けて最も重要なことは何だとお考えですか。
(屋会長)
「国が自らの過ちを認めることです。偏見や差別をどう解消していくか、厚労省、文科省、法務省が連携して考えていますが、『国が間違った情報を流したせいでこうなりました』と言ってくれれば、国民の受け入れ方もだいぶ違うはずです。しかし、国は未だにそれを言わない」
――法律の改正も目指しているそうですね。
(屋会長)
「平成21年にできた『ハンセン病問題基本法』が今の状況に合わなくなってきたので、改正を目指しています。今の法律では、国の取り組みは『努める』という努力義務ですが、これを『責務』、つまり果たさなければならない義務に変えたい。そうしなければ、本当に動いてはくれません」
「らい予防法が廃止されて来年で30年、国賠訴訟で勝訴して25年になります。このままでは、私たちが生きている間に偏見差別の解消はできないでしょう。そして私たちが死んだら、『ハンセン病って何だったの?』で終わってしまう。国が『私たちが悪かった』と言えば、もっと早く解決するんです。
国民の皆さんも、国が絶対だとは思わず、間違ったこともするという視点で、この問題を勉強してもらいたいと思います」