登下校中に子どもたちが、親や教師など頼れる人がいない状況で災害が起きてしまったらどうしたらよいでしょうか。そんな不安を少しでも解消するのに役立つアイテムをお母さん防災士が考案しました。
子どもたちがランドセルから取り出したのは...
「SOSファイルです。地震などが起こった時に周りの大人に助けを求めたりとか」
SOSファイルには、子どもだけで行動しなければならない時、助けてくれる情報をまとめておくことができます。
考案したのは、知久くみこさんです。知久さんは子どもを災害から守りたいと、2021年に防災士の資格を取得しました。
2011年3月の東日本大震災は午後2時46分に起きました。小学生であれば、ちょうど下校する時間です。
<母親防災士 知久くみこさん>
「小学校に入るとどうしても登下校は一人か、子どもたちだけの時間が生まれてしまうので」
知久さん親子は実際に通学路を歩いて、避難場所までの経路を写真付きでまとめました。
<知久心遥さん(10)>
「地震が起きた時の集合場所を確認して作りました」
さらに親が来るまでの避難先での行動も書かれています。
<知久さん>
「災害が起こった後、動けるところは自分で動いてもらってどうしても難しかったら近くに大人がいると思うので、その人にこのカードを出して『お願いします』というだけで、子どもの状況が伝わるかなと思って」
子どもが大人に助けを求めるためのカードも入っています。
<心遥さん>
「防災ファイルがあるのとないのでは結構違う。安心感があります」
この日、知久さんは小学生の親子にSOSファイルのレクチャーを行いました。SOSファイルには、いざという時の連絡先を書いておきます。
<参加した母親>
「いつもはスマホ片手なので、スマホを頼りにしているので、いざ番号をきかれると全然出て来なくて」
災害時には携帯電話が使えないこともあります。
<知久さん>
「災害伝言ダイヤルって聞いたことある?」
<参加した子ども>
「ない」
「災害伝言ダイヤル171」は災害発生時、電話がつながりにくくなったとき、家族などの安否を確認することができる声の伝言板です。
<知久さん>
「公衆電話からも掛けられます。公衆電話って使ったことある?」
<参加した子ども>
「ない」
<知久さん>
「受話器ってわかる?」
<参加した子ども>
「受話器?」
参加した子どもは公衆電話を使ったことがありませんでした。SOSファイルを見ながら災害伝言ダイヤルにかける練習をしました。
<参加した子ども>
「録音する方は『1』、聞かれる方は『2』と言っていました。もし災害が起きたら落ち着いてこの番号を押せば録音などができると思う」
SOSファイルは災害時に家族と離れ離れになってしまったとき、どう行動をしたらよいか示す道しるべです。
<知久さん>
「何かあったときに、ちょっと頼れるお守りみたいに、持っていることで気持ちが少しでも安心できるものになっていたら良いと思います」
いざというときのため、親子で話し合い、備え続けることが重要です。