街中で、ウサギのような長い耳とギザギザの歯が特徴的なぬいぐるみをカバンにつけている人を見かけたことはないでしょうか。その名は「LABUBU(ラブブ)」。少し「ブサカワ」とも言える個性的なルックスで、今、世界を席巻しています。
このラブブを制作・運営しているのが、中国の玩具メーカー「ポップマートインターナショナルグループ」です。同社が先月8月20日に発表した決算によると、上半期の売上高は138億8000万円(約2850億円)で、これは前年同期比204.4%増です。純利益は47億1000万円(約970億円)で、こちらも同様に362.8%増となりました。創業者の王寧(ワン・ニン)氏は、この決算発表の場で、通期の売上高が300億円(約6160億円)に達する見通しだと語りました。
なぜラブブはこれほどまでに人々を熱狂させるのか。その成功の裏にある巧みなビジネス戦略と、急成長企業が抱える課題に迫ります。
<東京ビジネスハブ>
TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は2025年8月31日の配信「運営企業の売上6000億円。 中国発のバズる人形「ラブブ」って何だ?!(野村高文) 」を抜粋してお届けします。
K-POPスターが火付け役 二次流通では2200万円の値も
ラブブはもともと、香港出身のイラストレーター、カシン・ルン氏が2015年に出版した絵本『The Monsters』に登場するキャラクターです。北欧神話から着想を得た妖精の女の子というユニークな設定を持ち、約10年の歴史があります。
当初はそれほど有名ではありませんでしたが、近年、K-POPスターであるBLACKPINKのリサさんがSNSで「ラブブがお気に入り」と投稿したことをきっかけに、人気が爆発。一気に世界中の注目を集めることとなりました。
この人気はビジネス面にも大きな影響を与えており、特に二次流通市場での価格高騰は凄まじいものがあります。元々の単価は1500円から2000円程度ですが、ブランドのVANSとコラボした限定モデルは、二次流通市場で1万ドル(約133万円)近い高値を記録。さらに、一体しかない131cmの大きなミントグリーンの限定モデルが、今年6月に108万元(約2200万円)という衝撃的な価格で取引され、大きな話題となりました。