254人。鹿児島県内でおととし自殺した人の数です。最も多かった2006年の507人の半分に減りましたが、自ら命を絶つ人は後を絶ちません。
9月16日までは自殺予防週間。24時間、年中無休で悩みの相談に応じる「鹿児島いのちの電話」の現場に密着しました。

「鹿児島いのちの電話です」
9月のある夜。鹿児島市内の一室で電話が鳴りました。
(電話を受ける相談員)「こんばんは。私でよかったら」
母親を亡くし、「生きていくのがつらい」という男性です。78分間、やり取りが続きました。
(電話を受ける相談員)「生きていれば、また生きててよかったと思うこともでてくるんじゃないかな。もったいないよ」
1989年にスタートした「鹿児島いのちの電話」。全国から寄せられる相談は、年間1万3000件余りです。
「義理の親に腹が立って心が病みそう」
「死にたい。死ぬと決めているのに、まだ死ねない」
相談者の年代は10代から80代まで、人間関係の悩みや孤独感、経済的な不安などさまざまです。そのうち1割は自殺にかかわる内容です。
(鹿児島いのちの電話協会 平川忠敏さん)「『リストカットして血がぽたぽた落ちている』とか、『農薬を目の前に置きました』とか。切羽詰まった電話がくる」
電話をかけるほうも、受けるほうも名乗らないことがルール。
(鹿児島いのちの電話協会 平川忠敏さん)「助かりたいから電話している。話を聞いてあげたら落ち着く。そういうための電話」
(電話を受ける相談員)「きのう、おとといは誰とも話していない?ご飯は食べていますか?」
電話を受ける相談員は無償のボランティア。年中無休です。
午前4時すぎ。
(電話を受ける相談員)「派遣で働いている。余裕(がない)経済的なところですよね。しょうがないから、死んだほうがいいと思った?」
仕事が安定しないという男性から「介護が必要な父親との同居が不安」という内容でした。
(電話を受ける相談員)「それだけ調子が悪い。休みが必要なんじゃない?」
昼夜を問わず、自殺をほのめかす電話など「SOS」を求める人は尽きません。
(鹿児島いのちの電話協会 平川忠敏さん)「110番や119番に電話したことはないが、『相談先がある』ということが安心感を与える。いつでも電話できることを知ってもらうことが、安心感を与える」
24時間365日。今も悩みを抱える誰かのために。「いのちの電話」は寄り添います。
今月10日から16日までは厚生労働省が定める「自殺予防週間」です。
「鹿児島いのちの電話」は年中無休で相談を受け付けています。
電話:099ー250ー7000(24時間・年中無休)