NATO=北大西洋条約機構のルッテ事務総長は、加盟国のポーランドの領空にロシア軍の無人機が侵入したことについて「意図的であるか否かにかかわらず、極めて無謀で危険だ」と非難しました。

ルッテ事務総長は10日、記者会見を開き、「9日の夜、ロシアから多数の無人機がポーランド領空を侵犯した」と指摘したうえで、ポーランドやオランダの戦闘機、ポーランドにあるドイツの防空システム「パトリオット」などを動員し、「NATO同盟国の領土の防衛を計画通り確実に実行した」と述べました。

NATOのヨーロッパ連合軍最高司令部は、「加盟国の領空での潜在的な脅威にNATO機が対処したのは初めてだ」としています。

また、ルッテ事務総長は10日の朝にはポーランドからの要請を受けて、NATOの最高意思決定機関である「北大西洋理事会」を開き、ポーランドへの連帯を表明し、ロシアを非難したうえで「徹底的な調査が進行中だ」と明らかにしました。

NATO ルッテ事務総長
「意図的であるかどうかにかかわらず、極めて無謀で危険な行為だ。ただ、詳細な評価は進行中だ」

また、イギリスのスターマー首相もロシアの領空侵犯について「前例のない行為だ」などと非難。ポーランドのトゥスク首相と協議し、ウクライナへの支援継続で一致したとしたうえで、ロシアへの圧力を強化すると述べました。

ロシア国防省は10日、ウクライナ西部の軍事関連施設を無人機などで攻撃したとする一方、「ポーランド領内を攻撃する計画はなく、使用された無人機の飛行距離は700キロを超えない」と主張しました。

そのうえで「ポーランド国防省とこの問題について協議する用意がある」としています。