こちらは絶滅の可能性が高いといわれる国の天然記念物エラブオオコウモリです。鹿児島県屋久島町の口永良部島では、このコウモリとともに自然環境を守る活動が10年以上前から続いています。
子どもたちの前に現れたのは、夜空を飛ぶエラブオオコウモリです。

屋久島町の子どもたちにその生態を知ってもらおうと、環境省と地元NPOが観察会を開きました。

エラブオオコウモリは、口永良部島とトカラ列島に生息するオオコウモリの一種で、国内に200匹いるとされています。翼を広げた大きさはおよそ60センチ。

1975年に国の天然記念物に指定され、環境省のレッドリストで「近い将来、絶滅の可能性が高い生き物」として分類されています。

夜行性のため、観察会は夜9時ごろに始まりました。
観察会に講師として参加した平川動物公園の飼育員・大沼さんも、野生の姿を見たのはこれが初めてです。
(平川動物公園・大沼美聡さん)「いますね、そこに」(キュキュ…)「口永良部に来ないと、なかなか見ることはできないので貴重な体験」
(子どもたち)「いる、いる」
(島民)「自分の家の前も(高い木に)いるので、鳴いていないと変な感じ」

口永良部島にはピーク時の1951年におよそ2000人が暮らしていましたが、現在は86人にまで減少。これに伴い、エラブオオコウモリも姿を消していきます。
島民が減ったことでエサとなる果実が減り、新岳の活発な火山活動で生息環境は悪化しました。

そこで、観察会を開いてコウモリへの理解を深めたり、エサとなる果実がなる樹を植えたりと、官民一体となった保護活動が2012年から進められています。
(小学3年生)「洞窟だけじゃなく、いろいろなところで暮らしていることがわかった」
(中学3年生)「口永良部島にとっては、とても大切な存在」
エラブオオコウモリの保護を通して、自然環境を守る活動はこれからも続きます。