JR仙台駅西口にある旧さくら野百貨店のビルは今年度中にも解体が始まる見通しです。専門家は「意義は大きい」としながらも、建築コストや人手不足を理由に再開発の難しさを指摘しています。

旧さくら野百貨店のビル。解体のニュースを知り、建物の写真を撮る人の姿が見られました。

市民:
「もったいないですよね。こんな駅前の一番土地の高いところで何もできていないというのは」

市民:
「ちょっと座って休んだり、よその土地から来た人が仙台のことを知ったりできる場所があったらいいのでは」

一方、専門家は、「再開発に向け第一歩は踏み出したものの、二歩目の足取りは重くなるだろう」と指摘します。

七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「仙台市の再開発の今後を占う大変重要なプロジェクトが動き出したということの意義は大変大きい。建築コストの上昇と人手不足は今だけの問題ではなく、今後ますます状況が不利になると考えられる」

2017年2月にさくら野が営業を終了した後、大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の運営会社が土地と建物の8割を取得。

当初はオフィスやホテルの入る複合ビルを建設する再開発が計画されていました。しかし、建築資材の高騰などを受けて計画は事実上白紙となり、今も跡地の活用方法は未定となっています。

田口さんは、民間まかせにせず仙台市の役割も重要だと話します。

七十七リサーチ&コンサルティング 田口庸友首席エコノミスト:
「仙台市も近いうちに人口減少局面に突入する。言ってみれば仙台駅周辺の商圏のポテンシャルは先々低下していくことが見込まれていて、コストを賄えるだけの収益の採算が計算が合わなくなっている。民間企業が事業をやりやすいように整備をしていくのが行政の最大の役割。規制緩和をさらに拡大して、民間事業者が採算を立てやすくなるように再設計をしていくということが大事」

田口さんは、高級志向のホテルやアニメなどのコンテンツを生かしたアミューズメント施設など、今までの仙台にはなかった新しい施設ができれば、海外からの誘客にもつながると話していました。