成年式のその後・・・未成年皇族がいないのは戦後初

皇室の制度に詳しい専門家に話を聞いた。
名古屋大学 河西秀哉 准教授
「成年を迎え、式を執り行われるのはとてもおめでたいことです。一方で、皇室全体に目を向けると、去年悠仁さまの成年を機に、未成年皇族がいなくなったという現実もあります。これは戦後初めてのことです。”少子高齢化”は日本社会の問題ですが、皇室の中でも起きています。今のシステムをまったく変えないまま皇室制度を続けるのは、おのずと限界があると思います」
くわえて、女性皇族は、男性皇族以外と結婚すると皇室を離れることになっている。未婚の皇族6人のうち悠仁さま以外は全員が女性。結婚後も皇族の身分を保持できる案についても、国会での取りまとめは先送りとなり、いまだ結論は出ていない。皇族数の減少は避けられない状況だ。

記者
「皇族数が少なくなると、実務的にはどのような問題がありますか?」
名古屋大学 河西秀哉 准教授
「たとえば、公務の担い手が少なくなることが挙げられます。いまは未曾有の自然災害なども多く、被災地訪問なども多くなっていますよね。ほかに国際親善なども重要な公務です。若い皇族が少なくなって、安定した皇室の活動が難しくなっていくという側面もあります」
宮内庁トップ・西村泰彦長官も、今年5月の記者会見でこう述べていた。「被災地訪問など」と例をあげたうえ「皇族方のご活動はかけがえのないもので、それが減っていくのは日本国民にとって大変不幸なこと」「宮内庁としてはコメントすべき立場にないが、皇族方の減少は大変大きな課題であり、それを踏まえての議論はしっかり進めていただきたい」としていた。
さらに、皇位継承の問題もある。今の継承順位は、(1)秋篠宮さま(2)悠仁さま(3)上皇さまの弟・常陸宮さまで、悠仁さまが飛び抜けて若い。将来的に悠仁さまが即位された場合、もし悠仁さまに男子がいなければ(現行システムが続くかぎり)以降の継承者はいなくなる。この危機感を出発点に、選択肢を増やすべく「女性天皇論」「女系天皇論」「旧宮家の皇族復帰論」などさまざまな案に枝分かれしていく。
宮内庁としては、制度変更に関わることなので政府や国会の動きを待つしかないという状況だが、国全体としてそろそろこの問題を先送りにできない局面を迎えている。
次の成年式がいつになるかは誰にも分からない。「40年ぶり」の重みがある一方で、この先、日本の皇室が新たなフェーズを迎えるのも間違いない。9月6日の当日はもちろん、その後にも注目したい。
(TBSテレビ 社会部・宮内庁担当 岩永優樹)














