「しらす不漁」から「記録的豪雨」まで。「黒潮大蛇行」影響

2017年8月から、7年9ヶ月という過去最長の期間にわたって続いてきた「黒潮大蛇行」は私たちの食卓から気候、さらには災害に至るまで、多岐にわたる影響を及ぼしてきました。

最も身近な影響は、食卓にのぼる魚介類の記録的な不漁です。特に深刻なのが静岡県のしらすで、ここ数年不良が続いています。本来、漁の最盛期にはしらすの入ったカゴが200から300も並ぶという静岡県の御前崎魚市場で、ある日はわずか3つしか水揚げがなかったといいます。

10年前に約8500トンあった水揚げ量は近年急激に落ち込み、ゴールデンウィーク恒例の生しらすの販売が中止に追い込まれた年もありました。漁業関係者からは「これしかないと商売として成り立たない」と悲痛な声が上がっています。

和歌山県では全国有数の漁獲量を誇る伊勢海老が記録的な不漁に見舞われ、漁師は「黒潮大蛇行が収まらないとどうにもならない」と語りました。サンマやアジ、サバなどが獲れなくなる一方で、暖かい海に生息する魚がかかるようになるなど、漁場の環境が大きく変化。のりやわかめといった海藻が枯れてしまう被害も報告されています。さらに、黒潮の流れの変化は漁場そのものを移動させ、伊勢海老が東北地方まで北上するなどの現象も起きています。