宮崎県内の最低賃金が初めて時給1000円を超える見通しとなりました。
期待の声の一方、年間1000万円以上の人件費の増加を見込む店もあり、懸念の声も上がっています。

25日、開かれた宮崎地方最低賃金審議会。
引き上げ額について労使の意見がまとまらず、協議は7時間以上に及びましたが、県内の最低賃金は現在の952円から1023円に引き上げられる見通しとなりました。

県内の最低賃金が1000円を超えるのは初めてです。

また、71円の引き上げ幅は過去最大。中央最低賃金審議会が示した目安額の64円を7円上回りました。

県内で初めての時給1000円超えに街の人は…

(街の人)
「自分もバイトしているからめっちゃうれしい。働きがいがあるかな、もっと働こうかな」
「みんなの暮らしが豊かになったり暮らしやすくなる」
「最低賃金が上がるのはいいことだとは思うが、働く時間が短くなってしまったりというところで、どっちがいいのかな」

一方、経営者からは、「厳しい」との声も。
県内でスーパーなど4店舗を展開する「ショッピングのだ」。店舗を支える従業員の8割がパートやアルバイトです。

(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「今回の引き上げは、相当、会社にとってはダメージは大きい」

最低賃金引き上げにより「ショッピングのだ」では人件費が年間一千万円ほど増える見通しで、野田 勝 社長は、危機感を募らせています。

(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「経営が非常に難しくなってきている。経済の成長よりも経費アップのほうが随分早いので、なかなか自助努力だけでは難しいかもしれない」

野田社長は、従業員の働き方を見直すことも考えていますが、経営への影響を懸念しています。

(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「より効率的に生産性のある作業をしてもらって、スタッフのみんなには。そつのない経営もしていかないと。それでも実際にやっていけるのかは不安」

宮崎労働局によりますと、1023円となった場合、県内で最低賃金額を下回る労働者は全体のおよそ3割だということです。

県内の最低賃金の引き上げは、11月16日から適用される見通しです。

最低賃金は、毎年、都道府県ごとに見直しが行われていますが、昨年度の最低賃金の順位では、宮崎県は全国で2番目に低くなっています。

そして、今年度の見通しが立った自治体がを見てみると、秋田県が80円引き上げの1031円、鳥取県は73円引き上げの1030円となっています。


どこの県も大幅に引き上げているようですが、物価上昇だけではなく、特に地方では働き手を県外に流出させないという考えも見えます。

政府は「2020年代に全国平均1500円」という目標を掲げていますので、最低賃金は今後も上がっていきそうです。