いくつも辞めてきたアルバイトから今は…

「tetote」で開店当初から働いている25歳のろう者のスタッフである謳歌さんに、これまでのアルバイトや、今の職場での変化について聴きました。

取材当日のインタビューでは、謳歌さんの手話を手話ダンススタジオに通う中学2年生のめいこさんに代わりに読み取ってもらい、ラジオ収録用に話してもらいました。

謳歌さんとめいこさん

25歳のろう者のスタッフ謳歌(おうか)さん/弁 中学2年生のめいこさん
「私の名前は謳歌です。私が聴こえないからコミュニケーションが合わなかった。苦手なこと言われたりとか命令の言葉が苦手で心が折れましたね。高校生の時は、ハンバーガーショップやスーパーで働いて、次はペットショップ。すぐ合わないからやめて、色々やめて、やめて…だからここの仕事が一番長いです。みんな聴こえないことへ理解があるからゆっくり話してくれる。みなさん優しいから私は働きやすいです。助けてくれるからここにいることができると思います」

「tetote」で働き出すまでは人と関わることが苦手だったと話す謳歌さんでしたが、取材当日は積極的に手話でお客さんに話しかけたり、笑顔がとても印象的でした。

辿々しい手話を覚えてきた私にもゆっくり手話で話してくれて、挨拶だけでも通じ合うことに喜びも感じました。

また謳歌さんは絵を描くことが得意なので、手話を1文字ずつ50音で表す「指文字」のイラストが描かれたお店のオリジナルグッズのデザインも手掛けています。

店内に飾られている絵画は謳歌さんによる絵画作品です。店内には謳歌さんのアトリエも併設されていて、謳歌さんがのびのびと楽しんで働いている様子でした。

ご自身の作品と謳歌さん
店内に展示されている謳歌さんの作品
謳歌さんが描いた「ゆびもじ」のイラスト

お店がある平塚市内にはろう学校があり、そこに通う学生からは「高校生になったらここで働きたい!」という声が挙がるなど「tetote」は憧れの職場にもなっているようです。

オーナーの北村仁さんによると経営に苦しんだ時期もあったということで、今は聴覚障害がある方の希望になっていたら嬉しいと話してくれました。