こちらのお菓子。実は、売り上げの一部が、経済的な理由で大学進学が困難な学生の奨学金として活用されているんです。この制度は学生だけではなく障がいがある人への支援にもつながっています。

高知市神田にある「ストロベリーフィールズ」。ケーキや焼き菓子などが手頃な価格で購入でき、様々な層に人気の菓子店です。そんなこちらの店で特定の商品を購入すると、売り上げの一部が県内出身の学生を支援する「ともしび奨学基金」に寄付されます。

この仕組みを考案したのが、香美市の菓子メーカー「スウィーツ」の創業者、福永稔さんです。

福永さんは自身が民間の奨学金を受け大学に通った経験から、同じように困っている学生の未来を少しでも明るく照らそうと、2018年に「ともしび奨学基金」を立ち上げました。奨学金の返還は「不要」です。

(ともしび奨学基金を立ち上げ 福永稔さん)
「逆境に負けず力を身に付けて、やがて日本を背負うくらいの人材に育っていただけたらと。僕のできないことをやっていただけたら、そういうふうに思っている」

運用資金は個人や企業からの寄付に加えて、福永さんらがレシピを開発した菓子を冒頭のストロベリーフィールズのような菓子店で販売し、その売上の一部が充てられています。

そんなストロベリーフィールズは就労事業所でもあり、厨房で調理を担当する上元侑子さんには障がいがあります。

(製造を教える従業員)
「こうやって入れてやっていこうか」

福永さんは運用資金を得るための菓子の製造と販売を就労事業所に委託することで、障がいがある人の菓子作りが学生支援に繋がる仕組みを構築しました。

(上元侑子さん)
「困っている人が(奨学金で)助かるのであれば一番うれしい。私も人生の中で困ったことだらけだったので、他にも困った人がいればそうやって貢献できることがすごくうれしい」

ストロベリーフィールズでは働いている障がいのある人たちが、自信をつけることにもつながっているといいます。

(ストロベリーフィールズ 野田光一 統括マネージャー)
「利用者さんの一番のマイナス面は自信がないこと。仕事で自信をつけて社会にも貢献して自信をつけていくことで、すごい活動だと思う」

ともしび奨学基金はこうして集まった運用資金をもとに、これまでの3年間で3人の学生の未来を照らしてきました。

寄付額は当初の年間200万円ほどから2024年度、およそ1000万円まで増え、4年目を迎えた2025年度、給付の対象者は1人から2人に増えました。たくさんの温かい人の思いが集まり、「ともしび奨学基金」が照らす学生や障がいがある人たちの明るい未来は、少しずつ、確実に広がっていっています。

(ともしび奨学基金を立ち上げ 福永稔さん)
「想像を超える熱い方々の思いに支えていただいて、奨学金活動がやっと軌道に乗り始めました。この世の中って捨てたもんじゃないとそう思います。支える人はいるんだから頑張ってください」

ともしび奨学基金、今後の目標は給付の対象を5人以上としています。さらなる支援につなげようとクラウドファンディングの寄付を募集していて、8月29日が締め切りとなっています。