「助けてやろうにも何もできない」自分に情けなく涙が止まらない
しかし、そこから加藤さんの心配はどんどん大きくなっていきました。
(加藤裕司さん)
「私は当時、高松に仕事に行っていた関係で、マリンライナーに乗って行くんですけども、約57分間ずっと娘のこと考えてます。考えれば考えるほど、涙が出てくるんですよ。涙が止まらないんです」
「『娘は元気にしてるんだろうか?』『しっかりごはんを食べているんだろうか?』『寝させてもらってるんだろうか?』そんな心配ばっかり湧いてきて、何もできない自分がすごく情けなくなるんですよね」
「助けてやろうにも何もできない。そんな自分がすごくむなしくて涙が止まらない、そんな状況でした」

「仕事先に行くんですけど、仕事なんかできません。『仕事してる場合か』という自分の声がしてくるんです。相手先にお断りを入れ、申し訳ないけど、仕事が手につかないんだということで、簡単な事情だけ説明して、すぐ帰る。これの繰り返しです」
「実は、(娘の車が見つかった)駐車場で、10人ぐらいの警察の人がいらっしゃいましたが、そのうちの何人かは西署に戻らずに会社を訪ねたようです」
「ところが、会社は土日が休みなので、当然、社員は出勤しておりません。簡単にガードマンの人に事情を説明すると、その人が、娘の直属の上司に連絡を入れ、すぐ上司が飛んできてくると」
「(娘の上司は)『加藤みさは間違いなく私の部下です。私も心配なので一緒に仕事場に上がって、周りを見てみましょう。ひょっとしたら携帯電話を忘れたかもしれない』ということで一緒に上がっていろいろ探されたそうです」
「ところが何も出てこなかった。普通だったらそれでお礼を言って帰るというパターンかなと思うんですけども、私は岡山県警に大変感謝してると同時にこの会社の上司の人に感謝してます」
「上司の人は、『自分の会社はIT専門の会社だ。従って、建物の内外にあらゆるところにカメラを設置してる。この映っている動画を見れば、何かヒントが見つかるかもしれません』、ということで、その動画を全部提供されたそうです」
「持ち帰った署員は何人かに分かれて、ずっと解析を続けたうちの1枚ということです。これ以外を私たち家族は見せられておりません。捜査に関わることだったと思うんですけど」