国や佐川氏を相手に提訴『赤木ファイル』で明らかになった”局長の指示“

佐川宣寿元理財局長

 財務省が公表した調査報告書では、当時の佐川宣寿理財局長が、決裁文書を「外に出すべきではない」と反応し、近畿財務局に改ざんを指示したとされています。しかし、誰がどんな言葉で指示・実行させたのかは明らかになっていませんでした。

 「夫はなぜ自ら命を絶たなければならなかったのか」雅子さんは国と佐川元理財局長を相手取り、損害賠償を求めて2020年3月に訴えを起こしました。
提出された赤木ファイル
 まず裁判では生前、俊夫さんから雅子さんが残していたと聞かされていた「改ざんの経緯を記したとされる文書」いわゆる“赤木ファイル”の開示を求めました。当初、国は「存在するかどうかも明らかにする必要はない」としていましたが、1年以上経って国側は突如“赤木ファイル”の存在を認め、裁判所へ提出しました。518ページに及ぶファイルの中に綴じられたメールで、佐川氏からの指示と分かる内容や、俊夫さんが改ざんの指示にあらがう言葉が残されていました。
 ▼財務省本省から近畿財務局に送られたメールの文言(赤木ファイルより)
 「局長からの指示により調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示がありましたので、改めて、調書を修正後、局長説明を行う予定です」
▼赤木俊夫さんから財務省本省へ送ったメール(赤木ファイルより)
 「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」
赤木雅子さん(2022年11月)
赤木ファイルの内容を見た赤木雅子さんは当時の思いを、次のように話しました。

 (赤木雅子さん 2022年11月)
 「夫がどんな仕事してたかっていうのはなかなか知ることができなかったんですけど、財務省本省の人たちに向かって『こんなことするべきじゃない』というメールを出してたことを知り、夫は頑張っていたんだなと感じました。また、そんな苦しんでたんだなというのを知ることができたので(ファイルが開示されて)良かったと思っています」