40年前の8月12日、日航機が墜落し520人が犠牲となった群馬県上野村(うえのむら)の御巣鷹山に慰霊登山を続ける東日本大震災の遺族がいます。今年は労災でわが子を亡くした遺族2人と墜落現場、御巣鷹の尾根を目指しました。中村記者の報告です。
田村弘美さん
「今年も来たなって今年も行きますからねって感じで」

田村弘美(たむら・ひろみ)さん(62)です。
8月12日、夫の孝行(たかゆき)さん(64)と、群馬県上野村(うえのむら)に向かいました。


2人は、七十七銀行女川支店に勤めていた長男の健太さん(当時25)を、東日本大震災の津波で亡くしました。震災後は、語り部として企業防災の重要性を訴えています。

この日の目的は、御巣鷹の尾根への慰霊登山です。
御巣鷹の尾根は40年前、日本航空123便が墜落し520人が犠牲となった場所。

事故の遺族らと思いを共有するために10年前から慰霊登山を続ける2人は、今年ある人たちを誘いました。
高橋幸美さん
「娘が亡くなって10年なんだと思うとその区切りにここに来たんだなと思うと感慨深い」

高橋幸美(たかはし・ゆきみ)さん(62)です。

高橋さんの長女・まつりさんは2015年、勤務していた広告大手「電通」での長時間労働などを苦に、24歳で自ら命を絶ちました。

そしてもう一人、安部宏美(あべ・ひろみ)さん(64)。

安部さんの長男・真生(しんは)さんは、東芝の子会社「東芝」で、システムエンジニアとして働いていた2019年に、過労によるうつ病を発症。自宅マンションから飛び降りました。

髙橋さんと安部さん
「行けない自分の娘が亡くなった場所にはもう行けないから」「思い出しちゃう最初に向かった時の気持ち」

わが子を亡くした2人の素直な思いです。