補助金の取り消しをめぐり、熊本県阿蘇市が畜産業者に支払った賠償金について、福岡高等裁判所が、佐藤義興・前市長に支払わせるよう市に命じた判決を受け、阿蘇市が上告を断念しました。
阿蘇市の畜産業者は「国の補助事業として行った牛舎建設への補助金交付を、市が不当に取り消したのは違法」と訴え、市に賠償の支払いを命じる判決が確定していました。
これを受けて、住民が当時の佐藤義興市長に賠償金を支払わせるよう市に求める裁判を起こしました。
福岡高裁は7月に、1審に続いて住民の請求を認めて佐藤前市長に約8360万円を請求するよう市に命じました。
控訴人補助の立場で参加していた佐藤前市長は8月2日付で最高裁に上告していますが、阿蘇市は上告期限の8月12日に上告を断念すると発表しました。
上告断念について、阿蘇市の松嶋和子市長は「上告審でこれまでの判決を覆すことは極めて困難との結論に至った」としたうえで、佐藤前市長の上告については「上告費用について市は負担せず、上告については今後の動向を静観する」とコメントしました。