最低賃金 海外と比べると…

ちなみに、海外の先進国の最低賃金を円換算(8月9日の為替レート)で見てみると、最も高いルクセンブルクは2689円。アメリカ(カリフォルニア州)、イギリス、オーストラリアも2400円程度で続き、それよりは低いドイツやフランスでも、日本と比べて2倍ほどになっています。日本と同程度なのは、韓国です。

日本より賃金の高い国々は物価も日本より高いわけですが、今回、日本で6%という高い引き上げ幅となった背景にあるのも物価高です。

8月も値上げ続々…コスト上昇を価格転嫁できず

審議会では、「食料」全体の価格が去年10月から今年6月までに平均で6.4%上昇し、「1か月に1回程度購入」する品目についても6.7%上昇しているというデータが示され、最低賃金の上昇率6%を上回っています。今月値上げされた食品類も1000品目を超えています。

輸入に頼るスパイスやコショウなどの調味料と、エネルギーや飼料価格高騰の影響を受ける乳製品で最大20%。だしとなる魚介類の高騰などの影響を受けるつゆが最大30%。世界的な品薄となっているコーヒー豆の高騰を受けて家庭用レギュラーコーヒーの中には40%値上げしたものもあります。

あらゆるものの値段が上がり続けているわけですが、企業側にとっては、これでもまだ生産コストの上昇を価格に転嫁できていない部分も大きいそうです。

中小企業庁の調査によると、原材料やエネルギー、人件費などが高騰した分の生産コストを売っているモノの値段に「全額転嫁できた」企業は、全体の4分の1ほどにとどまっており、「全く転嫁できていない」という企業は16.9%もあります。