建物の下敷きに…暗闇の中 明かりを目指して

当時8歳だったユキエさんは千田国民学校(現・千田小学校)に通っていました。1945年8月6日午前8時15分。友だちと登校し、学校に着いたときでした。入り口付近にいたはずのユキエさんは、裏まで吹き飛ばされました。そして、建物の下敷きになり、視界は真っ暗になりました。

ユキエさん
「建物が落ちているから。真っ暗のなか、そのまま這っていったら、明かりがあって。そこを目指すと外に出ることができた。外に出ると火が出ていた。辺りに」

友だちの行方は分からず、一人で逃げました。途中、知人から「家族は吉島に逃げている」と教えられ、目指しました。途中、防空壕があり、そこに避難しようとしましたが、すでに人がいっぱいで、駆け込める場所はありませんでした。途方に暮れているときでした。「ユキエか」。声の方向を向くと、偶然、父親と再会することができたといいます。

幼いときのユキエさん

そこから逃げる途中で目にしたものはいまも忘れていません。

ユキエさん
「もう寝転んでね。親は、死んでいて。でも、子供が泣く泣くね『お母さん、お母さん』って泣いて。あれはよう覚えてる」

避難した場所で、秀雄さんや母とも再会しましたが、13歳だった姉は原爆に奪われました。