40年で人口が約2倍になった村

井上キャスター:
人口減少が避けられないなか、40年で人口が約2倍になった村があります。
長野・南箕輪村は2005年ころから「日本一の子育て村」にしようと子育て支援に力を入れ始めました。現在(2025年1月1日時点)人口は約1万6000人でそのうち移住者は73.3%となっています。
そのため移住者に対しての壁はなく、コミュニティが作れないといった問題はなく、非常に暮らしやすいということです。
神奈川・茅ヶ崎市から移住した林佑樹さんは「気に入っているのは窓からの景色。隣との距離もないので落ち着く」といいます。
南箕輪村は、保育園から小・中・高校・大学まである全国で唯一の村です。教育がワンストップで完結できるところも大きな魅力の一つとなっています。

南箕輪村役場によると、移住者の55%は伊那市をはじめとする近隣地域からの転入だということです。
南箕輪村は周辺地域よりも土地が安く、中央自動車道に伊那インターチェンジができたことで東京圏、首都圏まで大体2時間半、中京圏も2時間くらいで行くことができるというアクセスの良さが移住者増につながったということです。
また南箕輪村は元々農業が盛んな村だったのですが、伊那インターチェンジ開通で伊那インター工業団地が誕生(昭和60年ころ)し、働き手が村に移住したことも要因としてあげられています。
出水麻衣キャスター:
「住みやすいよ」という移住者の口コミもあるのではないでしょうか。口コミはすぐに広まるので「行ってみようかな」という広がりにつながるのかなと思います。
文芸評論家 三宅香帆さん:
長野と東京の2拠点生活をしている友人がいますが、長野は気候がよくて過ごしやすいし、東京へのアクセスもいいですよね。それで働きやすく、子育てにもいい場所となると、(2拠点生活よりも)長野に移住した方が楽だなという人も増えるなと思いました。
井上キャスター:
「移住してくれたら100万円、200万円渡します」という自治体が多いなか、南箕輪村は今暮らしている方々に手厚くどんどん投資をする。それによってどんどん広がっていくものがある。1回きりではないという部分にすごく力点を置いているようです。

ただ南箕輪村によると、2024年は14年ぶりに人口が減少したということです。村の担当者は「子育て世代などが物価高のため住宅の買い控えをしたためではないか」と分析しています。
日本全体をみても昭和の時代に人口が増え、その後減少に転じていったわけですが、人口減少の中で今後どう知恵を絞っていくか、そういう時代に入っていくのだろうと思います。
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<プロフィール>
三宅香帆さん
文芸評論家 31歳
著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で「新書大賞2025」受賞