成功への懸念2:なぜ「恐竜」なのか?不滅IPの魅力と激化する競争
野村:
オペレーション以外にも懸念点はありますか?
comugi:
もうひとつは、目玉である「恐竜」コンテンツをめぐる競争環境です。
そもそもなぜ恐竜なのかというと、そこにはビジネス的な理由があります。
森岡氏が手掛ける「イマーシブ・フォート東京」では、当初『【推しの子】』といった人気IPのアトラクションがありましたが、リニューアルで終了しています。これは高額なライセンス料が背景にあると推測されますが、
その点、森岡氏が「不滅のIP」と語る恐竜は、いわば版権フリーで使える非常に強力なコンテンツなのです。
野村:
コストを抑えつつ、集客力のあるテーマを選んだわけですね。
comugi:
その通りです。しかし、その選択が差別化につながるかというと、話は別です。
海外に目を向ければ、ユニバーサル・スタジオ北京の「ジュラシック・ワールド・アドベンチャー」は絶大な人気を誇り、2025年にはタイのバンコクにも同シリーズの体験施設が誕生します。
国内でもUSJはもちろん、学術的な探求心に応える施設として「福井県立恐竜博物館」がナンバーワンの地位を確立しています。
さらに言えば、東京のよみうりランドにも2025年夏に「ディノランナー」「プテラノドンとお空の大冒険」といったアトラクションがオープンし、東京圏にも恐竜アトラクションは存在します。
そうなると、何か別の魅力を作らなければなりません。そこで注目されるのが、バカンスの要素である「スパジャングリア」です。
これは「世界最大のインフィニティ公衆浴場」としてギネス世界記録に認定されたという触れ込みで、インフィニティプール(水面と景色との境目が見えなくなるプール)でギネス記録を取ることで、話題性を作ろうという意図が見えます。
野村:
そうですね。そういった合わせ技で訴求していくことが大事になってくるわけですね。