80年前の悲劇を世界に伝え続ける平和公園には、ここを訪れる外国人を英語で案内している小学生の男の子がいます。この活動を通じて彼に芽生えた思いを取材しました。

「One voice.たとえ一つの声でも」

80回目の広島原爆の日。平和記念式典で「平和への誓い」を述べるのは小学6年生の佐々木駿さん(12)です。

佐々木さんは、2年生のときから、平和公園で外国人観光客にボランティアガイドをしています。きっかけは1年生のとき、原爆ドームを見て抱いた疑問でした。

佐々木駿さん
「どうして原爆ドームはボロボロなのに、壊されずに残っているのだろうと思った」

その後、母と原爆資料館を訪れ、初めて広島に原爆が投下されたことを知り、関心を抱くようになりました。

そんな佐々木さんの特技は英会話です。「英語でコミュニケーションを取ってみたい」と、訪れた平和公園で外国人観光客に話しかけると「原爆ドームは、元々何に使われていたのか」と質問されるも、答えることができませんでした。

佐々木駿さん
「広島に来ている外国人観光客は、ヒロシマのことが知りたくて来ている。ヒロシマを伝えられたら」

原爆ドームの歴史から始まり、「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの物語や、全国から寄せられる千羽鶴がはがきなどへ生まれ変わっていることなど、写真やクイズ形式で伝えます。

外国人観光客
「私も書いていい?」
佐々木駿さん
「もちろん」

身につけているビブスには、これまでガイドをした人からのメッセージがぎっしり。2着目のビブスももうすぐいっぱいになります。

佐々木駿さん
「戦争の悲惨さや平和の大切さについてたくさんの人に伝えたいし、戦争が終わっても、その人に残る苦しみは一生続くということを伝えたい」

「本当の平和は誰もが安全に自分らしく暮らせること」。活動を通じて芽生えた思いを込めて世界に届けます。

「大切な人を失い、生きることに絶望している人々がたくさんいます。私たちが、被爆者の方々の思いを語り継ぎ、平和を創り上げていきます」