鹿児島県内でも1000円を超える可能性が出てきた最低賃金。経済の専門家に受け止めを聞きました。

(九州経済研究所 福留一郎経済調査部長)
「それぐらい上げていかないと昨今の物価上昇とか手取りの減少という部分、そこを補うには最低賃金も去年以上に上げないといけないのだろうと」

九州経済研究所の福留一郎さんです。働く側にとって物価高には最低賃金の引き上げが必要と考えています。一方で、60円を超える上げ幅は企業側の負担が大きいと言います。

(九州経済研究所 福留一郎経済調査部長)
「上昇スピードの速さと(金額の)幅の大きさに戸惑って、今後の経営にどれだけ影響があるか、かなり不安にされてるところも少なくない」

例えば、県内のある企業が1日に5時間働く5人のアルバイトを雇っていた場合を考えます。時給が64円あがれば1日あたり1600円人件費が増え、1か月に20日働いたとすると3万2000円、年間で38万4000円経費が増えることになります。

福留さんは「価格転嫁」がポイントになるとしていますが…

(九州経済研究所 福留一郎経済調査部長)
「(価格転嫁できている企業は)まだ半分や半分未満が多い。価格転嫁も進めていかないと今回の人件費上昇に企業体力として耐えられない。価格転嫁も相手と交渉があるので、なかなかスムーズにいかない現状」

一方、労働者側にとって手放しでは喜べない現状も。いわゆる「年収の壁」によって働き方を制限する可能性もあります。

(九州経済研究所 福留一郎経済調査部長)
「『壁』を意識すると労働時間自体を短くせざるを得ない。企業としては、人手不足に拍車がかかってしまう。中小企業、特に零細企業、そういった方たちに対しての支援策は、賃上げ税制とか、あるいは補助金とか、今以上に手当てしていかないといけないと思う」

これから議論が進む県内の最低賃金。今後の展開に注目です。