お隣の国・韓国のテレビ業界では、生成AIを利用したドラマや番組の映像制作が急速に広がっています。驚きの制作現場にカメラが入りました。
中世ヨーロッパの街歩きや美術館、さらにはジャングルの奥地まで。実はこれ、JNN記者の写真を元に韓国のテレビ局が生成AIを使って作成した映像なんです。いま、韓国のテレビ業界では生成AIを使った映像作りが急速に広がっています。
公共放送MBCは、ピカソが誤認逮捕された「名画モナリザ盗難事件」の再現VTRをAIで作成。今回、特別に制作チームを取材することができました。
記者
「こちらの部屋でAIを使った動画制作が行われています」
MBC C&I イ・サンウク チーム長
「(モナリザのVTRは)外部監督2人と社内のAIアーティストの3人で作った」
使うのは複数の生成AIモデル。大まかな作業の流れは、最初にラフな絵コンテを作り、AIに読み込ませます。すると…
制作担当 キム・ヒョンアさん
「このようにプロンプト(指示文)をくれます」
次に、どんな画像を作るのかAIに文章で指示し、キャラクターに反映させ、さらにこの画に動きをつける指示を出します。そして最後に使うのが、実際の役者で撮影した動画。AIの動画と合成させることで、筋肉の動きなど自然な仕上がりに。
放送を見た視聴者からは、映像に違和感を覚えたとの指摘があったものの、テレビ業界の関心は高いといいます。
MBC C&I イ・サンウク チーム長
「放送が終わるや否や(番組作りの)オファーが入ってきた。協業しようという提案もたくさん受けた」
私たちも映像を作成してもらいました。使ったのは、なんと携帯で撮ったわずか数枚の写真。出来上がりは中世ヨーロッパの街を歩き、宇宙旅行も。ジャングルを探索中にワニと遭遇し、家のリビングにワープで避難しました。
スタッフは、AIを使うことで、費用や制作時間からこれまでできなかった表現が実現したと話します。
MBC C&I チョン・ソンヒ プロデューサー
「人材だけでも数百倍は減らすことができた。(制作にかかる)時間的な限界と費用的な限界を超えることができる映像演出が可能」
その一方で、AIがデータを学習する際に無許可で画像などを使うことが、著作権の侵害にあたるとの指摘などもあります。
AIの著作権問題に詳しい イム・サンヒョク弁護士
「韓国ではAI開発会社を保護しないといけないという社会的な認識があり、侵害に対して厳しくない傾向にある」
MBCテレビの幹部は、実際の映像を使った番組が無くなることはないと指摘した上で…
MBC 時事教養局 キム・マンジン部長
「特定の分野で強みを発揮するので(AI活用した番組は)今よりはるかに多くなると思う」
AI活用は経費削減につながるとも期待されていて、経営環境が厳しさを増すテレビ局にとって救世主となるのか注目されています。
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