配属先希望調査

国鉄本社では新会社発足に向けた職員の配置作業が進められ、職員一人ひとりの『意思確認書』が山積みになりました。
当初の予測を大幅に下回り、新会社行きを志願した職員は21万9300人余りで、これは採用予定数を約4300人上回るものの、国鉄が当初見込んでいた人数を大きく下回る結果でした。この数字は、民営化後の人員配置計画に少なからぬ影響を与えたとみられています。

長年にわたり日本の公共交通を支えてきた国鉄はこの変革期において、職員の雇用と生活を守りつつ効率的で競争力のある新しい鉄道会社を設立するという目標達成のため、複雑な調整を迫られました。結局本州・四国の各社では定員割れとなり、北海道・九州においては7400人余りあふれる形となりました。

本州3会社の定員割れは、職員が国鉄新会社の先行きに不安を感じたり、組合の主導権争いに嫌気が差して5万人以上が希望退職したり、公務員に転出したなどの事情があったといいます。

こうした現象は国鉄当局にとって、新会社に連れて行く職員の選択ができなくなるという皮肉な結果を招きました。本州3会社については所属組合に関係なくほとんど採用が決まり、その結果立場の異なる3つの大きな組合が対立を続けることになったため、労務対策は新会社でも経営陣の課題となったようです。