1949年(昭和24年)に設立された日本国有鉄道(国鉄)は、戦後日本の主要な交通機関としての役割を果たしてきましたが、1987年(昭和62年)にJR旅客鉄道会社6社とJR貨物、関連事業会社に分割民営化されました。長年の慣行や文化を持っていた巨大組織の、大きな変革を振り返ります。(アーカイブマネジメント部 森 菜採)
国鉄分割・民営化の背景
鉄道事業は1872年(明治5年)10月14日の新橋・横浜間開通を皮切りに、官設官営方式がとられてきましたが、戦後の1949年(昭和24年)6月1日には公共企業体「日本国有鉄道(国鉄)」として発足。
しかし高度経済成長期以降、自動車や航空との競争激化、輸送構造の変化への対応の遅れ、不採算路線の建設により経営が悪化し、特に貨物部門の不振が全体の重荷となりました。
巨額の赤字を抱え実質的に経営破綻に陥った国鉄に対し、第二次臨時行政調査会は『国鉄再建監理委員会』を設置。1983年(昭和58年)6月に発足した同委員会は、国鉄の分割民営化を提言しました。
