阿蘇市が畜産業者に支払った賠償金を巡り「市は当時の阿蘇市長に請求すべきだ」とする住民訴訟について、福岡高等裁判所は、住民の訴えを認めた一審判決を支持し、阿蘇市の控訴を棄却しました。
この住民訴訟のきっかけは2018年、阿蘇市の畜産業者が「国の補助事業として行った牛舎建設への補助金交付を不当に取り消された」として、市に損害賠償を求めた裁判です。

2021年に、市に8300万円余りの支払いを命じる判決が確定していました。
この8360万円の賠償金について、一部の阿蘇市民が「阿蘇市は当時の佐藤義興元市長の故意、または過失で損害を被ったのにもかかわらず、元市長に対する損害賠償の請求権の行使を怠っている」と訴えています。
2024年9月、熊本地裁は「市が請求権を行使しないことを正当化する事情は見当たらない」として、佐藤市長に約8360万円を請求するよう市に命じ、市が控訴していました。
そして7月25日の判決で、福岡高裁は「一審判決は相当」として控訴を棄却しました。

阿蘇市の松嶋和子市長は「市の主張が認められなかったことは、司法として一定の整理、判断がなされたものと理解しています」とコメントし、今後の対応への言及は控えるとしています。