きょう午後、自民党本部に集まった岸田、麻生、菅氏ら総理経験者たち。参議院選挙の敗北を受け、石破総理が急きょ、会談を要請したもので、歴代総理が一堂に会するのは極めて異例です。

1時間20分におよぶ会談のあと、石破総理は「危機感を共有した」と述べ、会談の意義を強調しました。

石破総理
「強い危機感をみんなで共有したこと、党の分裂が決してあってはならないということ等々、いろんなお話がございました」

また、自らの進退について、会談では「一切話に出なかった」とした上で、関税交渉の合意を受け、「国民生活がきちんと守られるよう全力を尽くしたい」と続投する意向を重ねて示しました。

一方、同席した森山幹事長は、総理経験者の1人から参院選の総括を「できるだけ早くおこなうべき」と注文がついたことをあきらかにし、「両院議員懇談会」を当初予定していた今月31日から前倒しして、28日に開催すると述べました。

しかし、石破総理への“包囲網”は狭まっています。

自民党 中曽根康隆 青年局長
「大変声が大きかったのが、総裁および執行部の刷新、そして、即時退陣というものでありました」

党の青年局はきょう、緊急のオンライン会議を開催し、執行部に早期退陣を迫りました。

また、党内では、執行部が決めた「懇談会」ではなく、総理退陣の議案も決定できる「両院議員総会」を開催するよう求める署名がおこなわれています。

自民党 鈴木貴子 衆院議員
「いま1人でも多く、賛同してくれる仲間を募っているところです」

署名活動を行っている鈴木衆議院議員は、石破総理ら執行部に対し、敗北の“けじめ”をつけるよう訴えました。

自民党 鈴木貴子 衆院議員
「自民党再生、再興、立て直しを図っていく上では、けじめがあっての、禊があっての再スタートというのは、これはセットだと思う。(Q.それ、やはり総裁が責任を取るべき?)はい」

さらに「ポスト石破」の動きも活発化しています。

去年の総裁選で石破総理と最後まで争った、高市前経済安全保障担当大臣を支援するグループがきょう、都内で会合を開きました。

出席者によりますと、10人ほどが集まり、今後の政治日程などにかかわらず、早期の退陣を求める意見が出たということです。

さらに党内からは下野、つまり野党になって、党の立て直しを図るべきとの主張まで飛び出しています。

自民党ベテラン議員
「いま政権を担っても、手柄はすべて野党に持っていかれる。自民党は評価されない」

きのう、執行部の1人、木原選挙対策委員長も「野党になることも選択肢の一つ」と明言したほか、自民党幹部も党の参院選の敗北検証のあと、総理退陣の可能性を示唆するなど、執行部も一枚岩とは言えない状況となっています。

関税交渉の合意が退陣の「花道」になるか。政権維持をめぐる駆け引きは、いまヤマ場を迎えています。