トカラ列島近海で群発地震が始まってきょう7月21日で1か月です。地震は減少傾向にあり、この5日間、震度4以上は観測されていません。地震の専門家は「収束しつつあるが、引き続き注意が必要」と話します。

十島村の悪石島では、きょう21日正午前にも震度3の地震がありました。

トカラ列島近海では先月21日以降、地震が続いていて、震度1以上を180回以上観測する日もありました。その後、地震は減少傾向にあり、きょう21日は午後5時までに5回です。

「大きめの地震はかなり減ってきたということで、だんだん地震活動が収束しつつあるのかなという印象を持っている」

地震の調査・研究を行う地震調査委員会の委員で、地殻変動論が専門の京都大学・西村卓也教授です。

トカラ列島での一連の地震では、地殻変動で悪石島の南にある宝島で、7月2日までに東北東におよそ2センチ、その後は南方向に4センチ移動しました。

西村教授はこの地殻変動や地震は「断層や地下のマグマの動き」が関係しているとみています。

「マグマが上昇するに伴って、そのマグマからさらにガスなどが周辺に伝わっていく、その両方が継続して(地震が)起こったと思う。断層が地震を起こさずにゆっくりすべる『スロースリップ』と言われる現象もあり、その2つのうちどちらか、あるいは2つの組み合わせによって(地殻変動が)起こっているのだろう」

十島村ではこの5日間、震度4以上は観測されていません。西村教授は「一連の群発地震はこの30年で最大規模の活動」とした上で、「収束方向にある」とみています。

ただ、地震の影響で地盤が緩んでいるところもあるとして、土砂災害に注意を呼びかけています。

「斜面で崩れやすそうなところ、すでに崩れかけているところには、大雨の時には絶対近づかない。その付近に住んでいる人は、台風や大雨の時には安全な場所に避難していただくことも今後必要になってくるのでは」