今回の特集は「この人に聞く」。TBSの報道番組「news23」でキャスターを務めていた佐古忠彦さんです。映画監督として沖縄の歴代知事に焦点をあてたドキュメンタリー作品が、鹿児島で上映されることになりました。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「日本一食事がおいしいところ。鹿児島に来ると2キロ太って帰る」

TBSの佐古忠彦さんです。スポーツアナウンサーとして入社したのち、「news23」などの報道番組でキャスターを務めました。鹿児島にも取材で度々訪れています。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「(当時)鴨池球場でキャンプをしていたロッテの取材で来たのが最初。news23でも災害の取材でもきた、忘れられないのが出水でおきた土石流災害の現場で取材中継をしたことがあった」

およそ30年にわたり沖縄を取材してきた佐古さんが、第4代沖縄県知事・大田昌秀さんと第7代の翁長雄志さんの姿を通し、沖縄の米軍基地をめぐる現代史をえがきました。

(佐古忠彦さん)「30年の普天間基地の移設先をめぐる辺野古の歴史。この二人は辺野古を語る上では欠かせない。47人日本に知事はいるが、背負っている苦悩の深さ・大きさはなかなかいない」

保守と革新、立場の違う2人の知事から見えたのは、沖縄、そして日本という国そのものの姿だと言います。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「深い対立の関係にあった2人が、長いときを経る中で、言葉も歩みも重なっていくのはなぜか、そこを紐解きたいと思った。そこにこそ沖縄の歴史がある。国が沖縄に対してどのように相対してきたのか、2人を通して見えるのは沖縄の歩みでありこの国の姿」

基地整備をめぐる国との動きを描いた今回の作品。鹿児島でも現在、西之表市・馬毛島で基地整備が進んでいます。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「安全保障の話になると南西シフトという言葉から、馬毛島から与那国まであっという間に基地がつながっていった。そこに対してどれだけ私たちが当事者として考えてきたのか、地元の人にとってもどうだろうかと思うところもあると思う、鹿児島に限らずこの映画が問うているのは民主主義のありようもある」

これまで様々な取材をしてきた佐古さん。大切にしているのは、日々のニュース1つ1つは「点」ではなく過去とつながった「線」であるという視点です。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「1つ1つのニュースは、こちら側から見てると、特に沖縄の出来事っていうのはどうしても1つ1つ『点』で見えると思う。例えば沖縄戦というものを原点とするならば、ずっと線で繋がっている上に私達はいる、今回は若い人も含めて『点』ではなくて『線』で歴史や今を見られる作品にできたら」

佐古さんが監督した「太陽の運命」は鹿児島市のガーデンズシネマで今月21日から28日まで上映されます。

(TBSテレビ 佐古忠彦さん)「戦後80年。今こそ振り返って向き合うべき。沖縄の歴史だけでなく、丸ごと日本の現代史という気持ちで見ると、日々のニュースの見え方も変わってくると思う『点』を『線』で見ていただきたい」