活発な火山活動が続く、霧島連山の新燃岳では、16日も噴火が確認されています。専門家は、今後も小さな噴火が長期的に続く可能性があると分析しています。

新燃岳では、先月22日以降、断続的に噴火が継続していて、15日正午すぎに発生した噴火は16日も続き、噴煙は100メートルの高さまで上がりました。

また、気象台によりますと、15日の現地調査では、火山ガスの放出量が1日あたり1600トンと多い状態だったということです。

産業技術総合研究所の及川輝樹研究グループ長は、断続的な噴火と二酸化硫黄ガスの放出が続いている状況について次のように分析しています。

(産業技術総合研究所 及川輝樹研究グループ長)
「大量の二酸化硫黄の火山ガスが放出されていることから、マグマが火口のすぐ下まで来てることはわかった。それが出てくるかどうかというところを、我々は注視してるっていう状態です」

産業技術総合研究所では、先月26日以降、現地に職員を派遣。
火山灰を採取し、解析した結果、構成物の多くは、2011年や2018年の溶岩の破片だと考えられるということです。

また、今月2日ごろからは、採取した火山灰にマグマとみられる破片も含まれていたということですが、大きな噴火につながるものではないと指摘します。

(産業技術総合研究所 及川輝樹研究グループ長)
「マグマ物質が火山灰の中に混ざってきたということで、マグマそのものが関与してるってことがはっきりしたというのが、3日と2日の噴火でわかった。ただ、一般的なマグマが出てくる噴火に比べて、マグマの含まれてる量はものすごく少ない。ですから、マグマがこれからどんどん出てきて、大きな噴火に進展するというような兆候は、まだ見られていないというような状態です」

産業技術総合研究所では、ドローンによる観測も実施。
映像からは、山頂火口の北東部と南東部に、噴煙が吹き出す穴が並ぶ「火孔列」や、火口から噴煙が斜面を下る様子が確認されました。

(産業技術総合研究所 及川輝樹研究グループ長)
「こういうマグマが出そうだけども、なかなか本格的に出てこない噴火というのは、他の火山の事例を参考にしますと、人が住んでいるところまで直接被害を及ぼすような噴火にならなくても、長期化する可能性はあるということは少し念頭に置いておいた方がいいかなと思っています」

今後の見通しについては・・・

(産業技術総合研究所 及川輝樹研究グループ長)
「溶岩が顔を出すといういうことが一つありますし、このまま小さな噴火を繰り返して、それが続くという可能性もそれなりにある。あともう一つ、(噴火が)このまま終わってしまうっていうことも当然あるわけなので、それのどれになるかというのは、引き続き注意深く見守っていかないと、なかなかわからないというところ」

新燃岳の噴火警戒レベルは、「入山規制」の「3」が継続中で、気象台は、火口からおおむね3キロの範囲で大きな噴石などに警戒を、また、爆発による空振で窓ガラスが割れるなどの被害が出るおそれもあるとして、注意を呼びかけています。