東京消防庁によると、過去5年間(2017~2021年)で、住宅等の窓やベランダからの墜落により医療機関に救急搬送された5歳以下の子どもは、62人にのぼっています。
子どもの転落を防ぐために、どのような対策が考えられるのでしょうか?専門家に聞きます。
■ベランダの柵 110センチを2歳で登りきる子も

建築基準法で、ベランダの手すりの高さは1.1メートル以上と決まっています。
4歳児の平均身長が約1メートルですので、手を伸ばせば手すりには届く状態です。
東京都などが、ベランダの手すりに見立てた高さ110センチの器具を子どもたちが越えられるか、検証を行いました。

4歳では約7割の子どもが登り切ることができ、6歳は全員があっという間に登り切ります。
2歳でも、わずか15秒で登り切る男の子もいたそうです。

では柵をもう少し高くした場合はどうなるのか。
10センチごとに高さを上げていきます。30秒間で登り切れるかを検証すると…
▼120センチ
3歳ー65.7% 4歳ー72.5% 5歳ー90.2%
▼130センチ
3歳ー20% 4歳ー50% 5歳ー82.9%
▼140センチ
3歳ー0% 4歳ー27.5% 5歳ー73.2%
実験では、3歳は高くなると越えることができませんでしたが、4歳は140センチでも27.5%。5歳になると、140センチでも73%以上の子どもが超えてしまったということです。
NPO法人Safe Kids Japanの山中龍宏理事長によると、
「5歳以上になると、柵を高くしても転落防止効果がほとんどない」ということです。
コメンテーター 平野ノラ:
うちの子どもは1歳8か月なんですけども、「椅子を移動して登る」というのがもうできる状況で、やっぱりベランダに出たがってるんですね。寝てるとき以外、ほとんどは鍵を閉めてロックをしてますけども、もうでも分からないですね。
昨日できなかったことが今日できたりするんで、もう本当に目を離さないしかないですよね。
子どもの転落事故防止に取り組む NPO法人Safe Kids Japan 大野美喜子氏:
難しい問題だと思います。子どもが自分自身で、踏み台になるものを自分で持ってくるとやはり乗り越えられてしまうのと、大人が想像しているよりも、子どもたちの身体能力は高いので、子どもが1人でベランダに出られない環境を作ってあげるということが大事です。
弁護士 八代英輝:
コロナ禍で在宅率が上がって、整理した家具をベランダに置いたり、あるいはキャンプなども流行っているので、ベランダに物を置いたりというような状況になってるんじゃないかと思います。
ニューヨークに暮らしていた時、7歳以下の子どもがいる場合には、窓に普通の工具で開かない特殊な金具をつけなければいけないんですね。行政がそれを設置して、その金具をつけると5センチぐらいしか開かない。
当然ベランダに出られなくて不便は不便なんですけど、それによって子どもの命は100%守られるなというふうには感じました。
高層マンションなどでは、ベランダの効用も高いのかもしれませんけど、子どもの命を守るという意味では選択肢の一つとしてもあってもいいんじゃないかなと思います。