――政治家の行動原理とは「落選したくない」ということ?
「政治家って、“職業”ではあるので、1回当選したらやっぱり次も勝ちたい。選挙に勝ち続けるってどうやってやるんだ、票を得ればいいってことなんですけど、じゃあ、どこから得ればいいのかっていうと、やっぱり最初に一番考えたいのは基盤を固めたいということ。それが後援会や団体から推薦をもらうということ」

「支持してもらったのに、彼らに報いない行動を取ってしまう、 彼らが望むのと別の政策を作ってしまうと、次の選挙で彼らからの支持を得られない。 だから落選する。それだったらちゃんと声を聞いておこうというのが、行動のインセンティブとして生じてくる」

――投票率を上げるためにできることは?
「例えば投票率を上げるためには、魅力的な政党や候補者が出てほしいみたいなことを最初に思いつきますが、やっぱり政治の世界の話なので、誰かが人為的に政党を作ったり、すごく魅力的な候補者に出てもらおうというのは(簡単には)できないわけですよね」

「普段の生活の範囲内で自分が通る道に投票所があると、気軽にパッと寄ろう、(投票してから)仕事に行こうとなる。そういった意味で投票所に行くコストや投票にかかる時間のコストを減らすというのが日本や諸外国を含めて、これまで幅広くされてきた取り組みだと思います。例えば、私自身が勤める大阪大学でも、大学内で2日間にわたって期日前投票所ができるんですが、うちの学生たちにしても週末は忙しい。『授業の合間に行きましょう、ちょっと歩けばすぐ投票できるので』という移動のコストや時間のコスト減らすという意味では、有効的な取り組みとみていいと思います。

――有権者ではなく政治家側ができる取り組みは?
「政治家側に考えてほしいのは、こういう制度を作れば対立軸が分かりやすい、あるいは多様な声が反映されるんだっていうことを考えた上で、こういう制度でやりましょうと。そうすることで、自分たちはこういう選択肢を見せたいんですと、それによって投票率が結果として上がるみたいなことが理想的かなというふうに思います」

浦添市では、これまで4日間だった特設会場での期日前投票期間を6日間に延長。追加した2日間で投票した人は3000人を超えた。今回の参院選の投票日は3連休の中日に当たるため、ピークが前倒しされた可能性もあるが、市民の需要に応えた結果と言えるかもしれない。

また那覇市では、大学構内での移動期日前投票所を試験的に実施するなど、各選管も工夫を凝らしている。そうした動きに有権者はどう反応するのか、投票率も見どころだ。