千代田区のコーヒー焙煎所「ソーシャル グッド ロースターズ」
障害のある人が、“できる”仕事ではなく、“やりたい”と思う仕事で、自信と誇りを持って働き、成長できる機会を提供しているコーヒー焙煎所「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」を取材しました。
この施設は、千代田区と共同で設立された就労継続支援のための福祉施設で、東京メトロ新御茶ノ水駅の近くにあります。障がいのあるスタッフが、コーヒー豆の仕入れから、機械を使った焙煎、さらにはカフェのように、バリスタとしてコーヒーを淹れて、お客さんへの提供まで行っています。

仕事がないのではなく、“やりたい”仕事が見つからない…
「ソーシャル グッド ロースターズ」を運営している、一般社団法人ビーンズの代表理事を務める坂野拓海さんにこのような活動を始めた経緯について聞きました。
一般社団法人ビーンズ代表理事 坂野拓海さん
「最初は、障害のある子供たちと一緒に遊びに行ったり、外出する支援をしていたんですけども、親御さんとお話する中で、将来働いてみたい場所がないとか、やりたい仕事がないっていう声が結構あって…。確かに求人は1,800個あるんですけど、職種が7つぐらいしかなくて…だからみんなが言っているのは、仕事がないんじゃなくて、やりたい仕事が見つからないということだったんです。なので、『本当にやってみたい仕事って何?一緒に考えよう』っていう話から始まったんですけども、たまたまそういった話をカフェでしていた時に、そこで働くカフェの店員さんがすごく楽しそうに仕事をしていたのを見て、その場にいた当事者の方やご家族の方がこういう仕事やりたいみたいな話になったんですよ」
専門的な仕事をしたい、人と関わる仕事がしたいといった当事者の方の声が多かったのと、話し合いをしていた場所が、カフェだったということが重なって、コーヒーの仕事をすることになったということでした。
ただ、やるからには本気でやろうということで、障がいのある方が「作業をする」場所ではなく、本気でコーヒーの仕事に挑戦することを支えられる場所を作りたいということで、この施設を作ったそうです。
そのため、仕入れる豆の選定から、コーヒーを淹れてお客さんへ提供するまでといった、コーヒーショップとして一連のプロセスが経験できるようになっていたり、焙煎の機械もコーヒーの大会で使われるような本格的な機械を取り入れたりしていて、福祉施設というよりもひとつのカフェのような場所になっていました。
