3日に公示された参議院選挙。与党は「給付」、野党は「消費税減税や廃止」を主張しているが、実は結果によっては両方とも実現しない可能性がある。各党が語らない物価高対策の「デメリット」も含め、参院選の争点を深掘りする。
「給付」vs「消費税減税」の構図 結果次第では“何も実現しない”可能性も
今回の選挙は少数与党の中で行われるため、事実上の「政権選択選挙」とも言われている。与党が過半数を維持できるかどうかのラインは「50議席」。この数字が石破政権の命運を左右する。

選挙戦の最大の争点は物価高対策だ。与党は「給付」を主張し、野党側は「消費税減税」や「消費税廃止」を訴えている。しかし、こうした対策が必ず実現するとは限らない。
もし与党が今回の参院選で負ければ(過半数をわりこめば)、補正予算案を成立させるのが難しくなる。与党の主張する給付金政策を実現するには、秋の臨時国会で補正予算案を通す必要があるが、すでに衆議院でも少数与党の状況で、それに加えて参院でも負ければ、野党の協力なしには予算案を通せない。しかし、消費税減税を主張する野党が、与党の給付金政策に賛成するとは考えにくい。
一方、野党側も参院選で勝った(過半数をとった)としても、消費税減税の実現は容易ではない。野党間でも消費税減税の方針は統一されておらず、立憲民主党やれいわ新選組は「給付も行う」と主張する一方、減税の内容も「時限的に減税」「消費税廃止」など、立場が分かれている。こうした状況では、野党が勝ったとしても、各党がまとまりきらず、法案として通らない可能性がある。消費税減税が、参院選の「アピール」にしかなっていないという指摘もある。
つまり、各党がそれぞれの主張を譲らず、協力し合えなければ、選挙の結果に関わらず、給付も消費税減税も実現しない事態すら起こりうるのだ。