指摘されるポピュリズムの浸透…有権者が持つべき責任

藤森祥平キャスター:
重点的な政策の一つには、物価高対策が目立っていましたが、どう思われますか。

教育経済学者 中室牧子さん:
短期的な物価高対策に皆さん関心があると思われますが、参議院の任期というのは6年ありますので、やはり中長期的な政策も非常に重要であると思います。

短期的には、物価高対策でいくら「使うのか」という話が出ていますが、中長期にいくら「稼ぐのか」ということも非常に大事だと思います。その観点で言えば、例えば、自民党総裁選のときに解雇規制の話題がありましたが、雇用や労働市場の改革も非常に重要です。また、年金の話題もあったように、社会保障の政策もまた非常に重要で、これらの問題もしっかり見ていかなければいけないと思います。

個人的に最近、少し関心を持った論文があります。それは「簡潔な言葉遣いをする政治家が票を獲得する。それがポピュリズムに繋がっていく」という政治学の論文です。これが非常に面白いと思っていて、やはり多くの人は簡潔な言葉遣いをする政治家に魅力を感じるのかもしれません。
でも現実は、政策課題というのは非常に複雑であって、ステークホルダーも多く、ロードマップや財源なども含め、その実現可能性を考えると、簡単に説明できないことも多いのではないかと思うのです。

ですから私達は、これから参院選を見ていくにあたって、過度に単純化された議論、簡潔な演説だけに耳を持っていかれないように、財源やロードマップ、そして実現可能性も見ていくということが大事であるように思います。

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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」