アメリカとイランの隔たり…戦争は本当に終結したのか?

「電撃的な攻撃」と「直後の停戦」。専門家はその背景をこう分析します。

上智大学(現代アメリカ政治) 前嶋和弘 教授
「自分の支持層が割れない線はどこかと考えながら、最初からゴールをみてやっていたと思う。イスラエルを支持しているのは(キリスト教)福音派で、イランの攻撃に賛成。

ただイランへの攻撃に対して、躊躇すべきだというのが二つあって。一つはビジネスマンの人たち、もう一つがアメリカ第一主義の人たち。自分の支持層が割れないように、攻撃はした、だけど早く手を引いた」

そのトランプ氏は…

トランプ大統領(25日)
「あの攻撃が戦争を終結させたのだ。あまり例えにしたくないが、ヒロシマ・ナガサキと本質的には同じことだ」

あろうことか、 広島・長崎への原爆投下になぞらえて、 攻撃を正当化したのです。

一方で、核施設については 「バンカーバスター」により穴は開いたものの、 地下深くの中枢部まで「完全に破壊できていない」という指摘も(ニューヨーク・タイムズ「アメリカ・イスラエル当局者の話として」)。

アメリカメディアは「攻撃は核開発を数か月遅らせただけ」との情報機関の見方を報じています。

イランの核施設は 「完全に破壊できていない」とするメディアに、 トランプ大統領は激怒。

トランプ大統領
「視聴率ゼロのCNNによるフェイクニュースだ。CNNはクズ、MSNBCもクズ、ニューヨー ク・タイムズもクズ」

また攻撃の2日前には、 長い車列が捉えられていて「高濃縮ウランの大部分が別の場所に移された」とも指摘されています(ロイター通信「イラン高官筋の話として」)。

これに対し、ヘグセス国防長官は…

ヘグセス国防長官
「これまで私が確認した情報で、あるべきものがそこになかった、別の場所に移動されていたという内容は一切把握していない」

打ち消しに躍起となるトランプ政権。

詳細を確認するには、IAEA=国際原子力機関による査察が必要ですが、イランはIAEAとの協力を一時停止する法案を承認。核開発も放棄しない構えです。

イラン外務省報道官
「イランがいかなる状況下でも(核の平和利用の)権利を保持することは揺るがない」

アメリカとイランの間には、依然、大きな隔たりが残っています。