ICC所長が語る“法による平和”への思い

その一方で、大国であるアメリカ、ロシア、中国は、ICCに加盟していません。
こうした大国不在の状況が、いま世界に混乱を招いています。
トランプ大統領
「イランの主要な濃縮施設は完全に消滅した」
いま世界は、国際法を無視し、トランプ大統領が標榜するような「力による平和」がまかり通る現実があります。

しかし、ICCの権限が及ぶのは、基本的に125の国・地域、国連(193か国)の3分の2以下の加盟国に限られており、赤根さんはそのことに忸怩たる思いをいだいています。
ーイランへの爆撃について何か捜査すべきだという機運は?

ICC(国際刑事裁判所) 赤根智子 所長
「(ICCに)管轄権が生じるのは、締約国(加盟国)の地域で(戦争犯罪などが)
起きるか、締約国の人が起こした場合。世界全体の大きな事件を全てICCが管轄権を持っているかというと、持っていないのが現状。
アメリカもイランもイスラエルも締約国ではないので(ICCに)管轄権がない。もっと締約国を増やしていくことが大事」
しかし、赤根さんは、こうした時代だからこそ、ICCの意義は 大きいと、その重要性を語ります。

ICC(国際刑事裁判所) 赤根智子 所長
「国と国との戦争は増えているし、力による支配が横行してしまうような世界にも
なりかねない。ICCが最後の砦となって、戦争犯罪などを犯した人を処罰すること
によって、将来も法の支配というのを無にしないような努力をしていきたい」
「力による平和」ではなく、あくまで「法による平和」を訴える赤根さん。
世界は今、その岐路に立たされています。