原型をとどめないほど大きく割れているのは、青森県の陸奥湾の「養殖ホタテ」です。野辺地町漁協では、5月からホタテが『タイ』に食べられる被害が相次いでいました。1人あたりの被害額は、多い人で3000万円以上にのぼるとみられています。

野辺地町や町議会議員は26日、沖合いにあるホタテの養殖施設を視察し、タイに食べられる被害を確認しました。

中澤美寿妃 記者
「こちら先ほど水揚げされたホタテなんですが、見てみると大きく割れていて、歯形のようなものが残っています」

タイに食べられる被害にあったのは、ロープに吊るして海に沈めた「耳吊り」と呼ばれる養殖2年目のホタテです。

野辺地町漁協では、5月初めごろからこれまでに全体の9割ほどが被害にあいました。1人あたりの被害額は1000万円~3000万円以上にのぼると見られています。

漁業者は
「全滅。もう死活問題。どこに矛先を向けていいのか分からないくらい。これまでもタイの被害はあったけど、ここまで全滅はないくらい。また来年も耳吊りをめげないでやろうと思っています」

耳吊りのホタテは、2026年に産卵させたあと出荷するために残していたもので、水揚げ量の減少だけではなく生産体制が揺らぐ大きな問題となります。このため漁協では、県などへ支援を要望する方針です。

野辺地町漁協 砂原則行 組合長
「対策はもうできません。漁協ではどうしようもない。赤字経営だから。県に陳情して、なんとかお金をもらいたい。来年は親貝が野辺地漁港では、ほとんどない状態」

水産総合研究所によりますと、タイはこれまで、ホタテを水揚げするさいに取り除かれる“付着物”をエサにしていましたが、今シーズンはホタテが不漁でエサ不足になっていたと見られるということです。