「物流2024年問題」すでに厳しい環境にある

背景にあるのは物流業界が直面している待ったなしの危機的状況、いわゆる「物流の2024年問題」です。去年、ドライバーの時間外労働に年間960時間という上限が設けられ、これは働き方改革の一環で労働環境を改善するために不可欠な措置です。

拍車をかけているのは、物流を支えてきた団塊の世代が全員75歳以上となり、引退が増加、中小運送業者の中には廃業や倒産に追い込まれるケースも出てきており、対策を講じなければ2030年には国内の荷物の3割以上が運べなくなるおそれがあると試算されています。

国内で1年間に配達される荷物は約50億個もあるといいます(後述しますが、実際はもっと多いはずです)。そのうちの約1割弱にあたる4.2億個が再配達されていて、再配達にかかる労働力は、実にドライバー6万人分に相当するといいます。この膨大な手間を削減したいわけです。

専門家によると、タワーマンションでは、荷物用のエレベーターが1基しかなく、他の業者と重なると長時間待たされる、などといった構造的な問題もあり、対面で1軒に荷物を届けるだけで15分かかるケースもあるそうです。