「スポーツに恩返しできた」ローマ五輪芸術祭で入選

今回の展覧会には、こうした静雄さんの写真とともに、もうひとつメインに据えたものがあります。静雄さんの肉声です。1960年、ラジオ番組に出演した際の音源です。
静雄さんは、「準備運動」と題された写真で、1960年のローマオリンピック芸術祭で入選を果たしました。この入選を伝える番組に静雄さんがインタビューに答える声が残っていました。

そこには、自身の被爆体験や、原爆症に苦しみながらも、病床で写真の構図を考えたこと、体の調子がいい時を見計らって写真を撮っていることなどが語られています。
そして、「準備運動」の入選でスポーツに恩返しが出来たと語っています。
髙田静雄さん
「不自由な体を引きずりながら、本当の自分のスポーツの使命を果たしたように思われました。思い起こせば、原爆にやられ、身体は不自由なまま引きずり歩き、スポーツの写真については、いろいろ構想を練り、重ね重ねのオリンピック出場については感無量でありまして、なんとも申しようがありません」

展覧会では、インタビュー音声が流れ、それに沿うように静雄さんが撮影した38点が並びます。
高田トシアキさん
「肩肘張らずに撮っていた普段の風景や、逆に写真についての深い造詣、光などを撮っています。本人も原爆で傷ついたので、傷ついたもの、それを助けるものを敏感に捉えていた。暗いだけじゃない、明るい、希望というを撮りたかったので、それを見てほしい」
写真展「キセキー髙田静雄・髙田トシアキ二人展ー」は、広島市中区上八丁堀の「galleryG」で29日(日)まで開かれています。午前11時から午後7時まで(最終日は午後4時まで)。29日には、午後2時からギャラリートークも予定されています。