(スタジオゲスト)政治学専門 崇城大学今井亮佑(いまいりょうすけ)教授

――今井教授も、小野さんや木村知事と同じく、蒲島郁夫前知事の東京大学時代のゼミ生。今回の小野さんの立候補表明をどう受け止めた?

今井教授「率直の驚いた。小野さんとは2024年の12月に会ったが、その時は熊本に住む家族との時間を大事にするということで一回、充電期間に入るような雰囲気だった。そういう中で今回の話が出てきて、そして八代の市長ですから、驚きました」

――蒲島さんは何と言っていた?

今井教授「別の市長選挙に出て欲しかったみたいですね」

――木村知事は、小野さんと同じゼミ生、木村知事は選挙で自民党から推薦を受けている。現職中村さんも自民党から推薦を受けている。木村知事がどちらかの応援でマイクを持つ可能性はあると思うか?

今井教授「マイクを持つところまでいくか分からないが、少なくとも自民党の推薦を得ている中村さん側に立った動きをすることは間違いない」

――小野さんは副知事2期、都知事選に挑戦、衆議院議員、そして八代市長戦と、一見、軸足が定まっていないようにも見えるが?

記者「八代市長選を選んだ背景が、副知事時代に県南振興の担当だったので土地を知っている。毎年、妙見祭に参加しているということで人も知っている」

――このまま三つ巴か、それとも新人間で調整が進むのか?

記者「新人で八代市議の山本さんも、小野さんが今の市政を変えなければいけないという思いが一緒であるならば一本化の協議の必要があると言及している。地元関係者も反市長で票をまとめるためには一本化したいと意気込んでいる」

――仮に一本化が進むと・・自民党推薦の現職と推薦等のない新人、『自民対非自民』の構図も浮かぶが

今井教授「新人の側は表面上、無所属というスタンスをとると思う。というのも仮に非自民の色あいが濃くなりすぎると、自民党支持だが現職の中村さんの姿勢は評価できないと考えている有権者の票がとりにくくなるから。ただあくまでも表面上の話であって現職の中村さんを自民党が推薦する以上は、非自民の各党としては新人の候補者を勝手連的に支援して事実上の与野党対決のかたちにもっていきたいと考えるはず」

――八代市長選挙の争点は?

記者「菊陽町のTSMC進出で浮き彫りになった、南北格差の問題が争点になると思う。立候補を表明している3人に関しては県営の工業団地を活用するという考えは一致している。ではどのようにして企業を呼び込むのかという、手段について議論が活発化する。もう一つが人口減少への対応。どう食い止めていくのか、どう呼び込むか、ここも焦点になると思う」

――参院選は「物価高」がキーワードだが

今井教授「私は八代市長選挙で物価高は争点にならないと思う。自民党の推薦を受ける中村さんにとしては、国政レベルでは自民党に逆風が吹いているので、国政と八代市政はまったく別物だと強調すると思う。一方の小野さんも、今回の選挙があくまでも八代市のトップを決める選挙なので、国政レベルの物価高の問題や自公政権に対する批判、与党に対する批判はあまり出さないのではと思う」

――今井さんには着目しているところがありますね?

今井教授「2024年の熊本県知事選挙で自分の研究で調査した。熊本県で生まれ育った人が熊本県知事になるべきかどうかが投票行動に影響した。生まれ育った人がなるべきと思った人は幸山さん。そう思わない人は木村さんという傾向が明らかに出ていた。そのことから類推すると、八代市で生まれ育った人が八代市長になるべきと考えるかどうかが今回の投票行動に影響する可能性がある。

――熊本の特色か?

今井教授「全国規模の比較はしていないが、おそらく熊本で強い傾向として表れている」

――7月3日には参院選公示、それも含めてどうみている?

今井教授「中村さんを推薦する自民党としては参院選と市長選の連動をはかると思うが、一方で非自民の各党とすると、新人の候補が無所属で出るとなればなかなか連動をはかるのが難しいと見ている」